日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ワンダーランド』
『ワンダーランド』第1巻
石川優吾 小学館 ¥552+税
(2015年10月30日発売)
日本のとある町で、平穏な日にを過ごしていた高校生のゆっこ。
ある朝、目覚めると体が小さくなっていて――。
不安な世情を反映してか、マンガでも最近、いわゆる「近未来パニックもの」が盛り上がっている。
本作もまた、その流れを汲むものだが、設定が「体が小さくなる」と古典的かつシンプルなだけに、状況がいちいちリアルに想像できて、なかなかにコワイくておもしろい!
自身を取り囲むものすべてが巨大化している恐怖。ベッドから降りたり、部屋から出るのもひと苦労。
虫や鳥はおろか、かわいい飼い猫がまさか……の展開には、猫好きとしては思わずゾッ。
そんなパニックの渦中で、人形のお洋服でお着替えしたり、オモチャの車で移動したり。
メルヘンチックでかわいらしい味わいも絶妙にフレーバーされているのがミソ。
はたして、この原因はバイオテロなのか何なのか!?
物語はまだ序章だが、物語の仕掛けも意外と深そうなダークファンタジー。見届ける価値アリです。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69