『いつでもお天気気分』第7巻
羅川真理茂 白泉社 \463
(2014年6月20日発売)
『赤ちゃんと僕』『しゃにむにGO』『ましろのおと』……ヒット作を連発してきた羅川真理茂の“隠れた名作”。
1993年より不定期連載、単行本1巻が刊行されてから、じつに20年の時を経て、感動のフィナーレを迎えた。
主人公・赤馬竜次は、マイペースでコワモテゆえに、腕に覚えのある不良からケンカをふっかけられる因果な男。「平成が生んだ暴れ馬」の異名をとる彼に、一般人は恐れをなして近寄らないが、高校で同じクラスになった進之介と秀は、なぜか親しげに接近してきて……。
なりゆきで3人仲よく茶道部に入部し、行動をともにするなかで、友情が深まっていく。
中学時代は一匹狼だった赤馬が、遠慮なくやり合える友人を得て、ふと無邪気な表情を見せる瞬間が、なんともほほえましい。
不良扱いされはするけれど、赤馬は硬派で、恋人とのおつきあいなどはとってもピュアだったりするのだ。
いよいよ高校生活が終わりに近づく最終巻。大学受験を前に3人が励まし合いながら勉強に励むシーンは、どの世代にも共通するさわやかな青春像が胸を打つ。
彼らとともにしたさまざまな思い出を振り返りながら、卒業式を見届けてほしい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」