『眠れる教室の喪女』第1巻
風上旬 秋田書店 \607
(2014年6月20日発売)
田の中じゅえる、高校1年生。ぼっちの中学時代を経て、自分を知る人のいない遠くの高校を選ぶも、予想外にリア充度の高い環境にまるでなじめず、高校デビュー大失敗。
休み時間は、寝たふりでやり過ごす毎日である。
「どうせならホントに寝てしまえ→どうせ寝るなら淫夢が見たい→できれば夢の中だけでもいい思いがしたい!」という発想から、夢をコントロールできる“明晰夢”を見るための研究に余念がない……。
常に机に伏せっぱなし、異色ヒロインの物語だ。
「喪女」とは「モテない女」の意味だが、決して恋愛やセックスに興味がないわけではない。じゅえるは恋愛どころか、男子としゃべったことさえほとんどないわりに、けっこうえげつない淫夢を楽しんでいる。
いや、リアルな経験がない分、かえって妄想の世界では欲望が肥大化してしまうのかも!?
夢の世界にのめりこみすぎて、ハッと教室で目覚めたとき、あられもない姿をさらしていることも――ダダ漏れてますよ、じゅえるさん!
一見おとなしいが、内にどでかい爆弾を抱えた喪女の未来に幸あれ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」