『やさしいセカイのつくりかた』第5巻
竹葉久美子 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス \637
(2014年6月27日発売)
弱冠19歳の天才物理学者・朝永悠は、研究の打ち切りを機にアメリカの大学院から日本の女子高へ講師として赴任する。
不器用な天才講師・悠と、彼の教え子である女子高生たちの、優しくも切ない学園生活を描くのが、本作だ。
最新刊は、悠に想いを寄せる教え子の草壁ハルカに、彼と同じく天賦の才を持ちながら、周囲に遠慮してそれを隠していた少女・広瀬葵が、自分の心中を吐露する場面から始まる。
葵の“異形”を受け入れながらも、悠と同じ世界を見ている彼女に嫉妬するハルカの気持ちなど、沖縄への修学旅行というドキドキワクワ&キャッキャウフフの学園イベントが、かすんでしまうほどの胸に迫るシーンが、次から次へと押し寄せてくる。
物理学への探求心を抑えられない悠が、再度の渡米を決意したことで、いよいよ物語はクライマックスへ。
悠たちの“やさしいセカイ”を求める人生の旅路は、どこへ向かおうとするのか?
<文・富士見大> 編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。担当作品は『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレットのほか、平成25年度の文化庁メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業「日本特撮に関する調査報告」にも参画。