365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月7日は消防記念日。本日読むべきマンガは……。
『炎炎ノ消防隊』第1巻
大久保篤 講談社 ¥429+税
1948(昭和23)年3月7日は「消防組織法」が施行された日。
それまで消防は警察の管轄だったのだが、その立法によって各自治体が消防について管理する形となり、各市町村ごとに必ず消防署や消防団などを設立することが義務づけられた。
つまり、現在の消防機関はその日に誕生したともいえる。そして、それにちなんで1950年に制定されたのが「消防記念日」である。
さて、マンガで「消防」といえば、なんといっても『め組の大吾』が有名どころ。ほかにも『消防女子!!』などいくつか作品はあるのだが、思いのほか消防関連のマンガは少ないのである。
命がけで人命を守る職業だけに、もっと描かれていてもいい気がするんですけどね……。
だが、そんな現状を打破してくれそうな新作がついに登場!
「週刊少年マガジン」で昨年の秋より連載がスタートし、今年の2月に新刊が出たばかりの『炎炎ノ消防隊』がそれ。
しかもこれ、「消防士×ファンタジー」という組みあわせもなかなかに新鮮。著者は『ソウルイーター』などで知られる大久保篤……と聞けば、さらに期待のメーターが上がる人も多いことだろう。
作品の舞台となるのは、「太陽暦佰九拾八年の東京」という架空の世界。
そこである日から突如起こり始めた人体発火現象、さらにその怪異によって誕生する「焔ビト」と呼ばれる怪物──それらに立ち向かうのが、主人公の所属する「特殊消防隊」である。
……と、設定からして現実の消防士とは大きく異なっているのだが、緻密な背景描写もあいまって、冒頭部分から説得力はバツグン。
それに加え、主人公の持つ「発火能力」が、かつて家族を亡くした火事の原因と誤解を受け、いわれのない迫害を受けたという過去にも想像力が刺激される。
まさにこれ、いわゆる「つかみはOK!」ってやつですね。
まだまだ物語は始まったばかりといったところだが、今後の展開も熱い視線をもって注目していきたい。
そして、もっと様々なアプローチで「消防士」という職業がマンガに描かれるように、「消防記念日」である今日は祈っておきましょう。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。