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『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』 巻来功士 【日刊マンガガイド】

2016/03/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』


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『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』
巻来功士 イースト・プレス ¥925+税
(2016年2月7日発売)


実体験を赤裸々に綴った漫画家マンガにまたひとつ名作が誕生!

1980年代中期、『北斗の拳』(武論尊/原哲夫)『Dr.スランプ』(鳥山明)『キャプテン翼』(高橋陽一)『聖闘士星矢』(車田正美)など、人気作品ひしめく「週刊少年ジャンプ」にあって巻来功士は忘れられない作家のひとりだ。
『メタルK』『ゴッドサイダー』といった作品にしばしば見られるグロ描写がトラウマになった人は少なくないはず。しかしいわゆる“10週打ち切り”の憂き目に2度もあいながらも、一方では熱烈に支持するファンも多く……とにかく強烈な個性の持ち主であったことは間違いない。

本作も、自分にしか描けない作品にこだわった漫画家ならではの熱さに満ちている。
投稿時代からデビュー後までの心情を……喜びも苦しみも、当時の恨みつらみも余すことなく正直に描ききった青春記である。

一刻も早く漫画家として活躍したくてたまらない巻来は、デビューの足がかりをつかむと卒業を待たずに大学を中退し、一路東京へ。
上京してたった3カ月で初連載を勝ち取り順風満帆と思われたが、2作目の連載開始直後に雑誌が休刊! そして、巻来は「ジャンプ」編集部に持ちこみすることになるのだが……。

傲慢ともいえるほど自信満々だった若き日の己を客観的な視線でとらえつつ、相性の悪かった編集者への納得のいかない気持ちをも率直に描いており、「これが漫画家のリアルなのか」とじつに考えさせられる。
ライバルたちに激しい競争心を燃やし、打ち切りに凹み、それでも「すごいものを描いてやるぞォォ……」と机に向かう。いやぁ、マンガ家としてやっていくってホントにすごいことなのだとあらためて実感。
本作を読んだら少々のことでへこたれてなんかいられない!!

巻末の、堀江信彦(「週刊少年ジャンプ」5代目編集長、現コアミックス代表)との対談「漫画家と編集者の、理想的な関係とは」もめちゃくちゃ読みごたえアリだ。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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