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4月15日はタイタニック号(豪華客船)が沈没した日 『海猿』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/04/15


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月15日はタイタニック号が沈没した日。本日読むべきマンガは……。


UMIZARUbunko_s01 (2006/04)

『小学館文庫 海猿』第1巻
佐藤秀峰(著) 小森陽一(案) 小学館 ¥752+税


先日ついにオスカー俳優の仲間入りを果たした、“レオ様”ことレオナルド・ディカプリオ主演の大ヒット映画『タイタニック』
そのなかで描かれた、当時世界最大の豪華客船・タイタニック号は、処女航海で北大西洋上の氷山と衝突し、約2時間半で沈んでしまう。それが、1912年の今日、4月15日の出来事だ。

船には2200名以上の乗員乗客が乗っていたが、1178名分の救命ボートしか用意されていなかった。最初に沈んだ船首部分に巻きこまれることを恐れた救命ボートは、1隻を残してちりぢりに沈没地点から離れてしまう。
そして、海に投げ出された人の多くは救助されず、零下2度という冷たい海のなかで、人々は心臓発作や低体温症で次々と亡くなっていった。

不幸はそれだけではない。タイタニック号は救難信号を発していたが、船が沈む2時間半の間に届く距離にいた他の船は、無線員が睡眠中だったり、氷山にぶつかることを恐れ、いないふりをしたりと、さんざんな状況だった。
それは、海難事故における救難の技術も体制も整えられていなかった当時だから起きた悲劇。今の世であれば、あれほどの惨劇はなかなか発生しにくいだろう。

というのも、現代には「彼ら」がいるのだから! 海難に遭遇した時のだれよりも強い味方、海上保安庁だ!
そこできょうは、同庁特殊救難隊の壮絶な活躍を描いた佐藤秀峰の『海猿』をご紹介。

ご存じ海上保安庁は、海の警察である。密漁や密航、海外からの不審船といった問題に対応するほか、遭難の救助を担当する頼もしい存在だ。
そして主人公の仙崎大輔は海上保安官。過去に親を海で亡くし、そのとき尽力してくれた海保にあこがれを持つ熱血漢で、少々単純な男でもある。
彼が海保の現場に立つとき、様々な事件や事故、仲間の死などを経験し、あこがれは現実と理想の間を行き来する葛藤となってゆく……。

本作は、フェリー事故、航空機事故といった、シビアな現場の壮絶さを描ききっているのがスゴい。ちょっと読むのを尻ごみしてしまうほどの凄惨なシーンもある。
個人の葛藤や、丘で待つ家族の不安の描写などは、全体的には明るい表現も多いだけに、ギャップからくる重みがすさまじい。

主人公が経験する出来事は、実際の海上保安官にとってまさに現実に直面している危険だ。
少なくとも、私たちはこのマンガを読めば彼らがいてくれることに感謝せずにはいられなくなるはず。



<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。

単行本情報

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