『突撃奉仕暴ランティア部』第2巻
東屋めめ 竹書房 \819+税
(2014年7月7日発売)
SMマンガです。
正確には「ボランティア部」を描いたマンガ。しかしテーマになるのは、SとMの関係性だ。
編入してきて、友達ができずぼっちになってしまった少女・伊香保。
彼女がなんとか知り合いを作りたいと思って入ったボランティア部は、私利私欲と打算に満ちた面々の集まる場所だった。
興味深いのは部長の黒川だ。彼は根っからのサディストで、部に転がり込んできた伊香保を徹底的にいじくる。メイド姿やバニールックでパシリに使い、首輪をつけて連れまわす。ぐるぐるに縛って放置する。9割がたが羞恥プレイだ。
伊香保は「やめてくださいよ!」「なんでこうなるんですか!」と大拒絶。ここが重要!
黒川は「求めるM」に興味はなく、伊香保のように拒絶する、でも潜在的にM要素の強い子に反応するタイプのSなのだ。
物語は伊香保視点で描かれるため、黒川は一見、いじめてくる悪人のように見える。しかし黒川にとって下僕扱いの伊香保は、求めていた理想でかけがえのない存在だ。
実際、本当に伊香保の心が砕かれるような行動は取っていない。このくらいならこの反応をするだろう、というバランスがちゃんととれている。2巻表紙のファーの縄で縛っている絵は、わかりやすく2人の関係を表している。
伊香保もまた黒川を微妙に意識し始める。SMが育むいびつな恋の形はどこへ行く?
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」