365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月17日は東京の日。本日読むべきマンガは……。
『東京物語』第1巻
ふくやまけいこ 早川書房 ¥760+税
7月17日は「東京の日」。
1868(慶応4)年、旧暦の7月17日に、明治天皇により「江戸」が「東亰(とうけい)」に改称されたことに由来する記念日だ。
ちなみにこの当時の名称は「東京府」。1893(明治26)年に「東京市」となり、「東京都」となるのは1948(昭和23)年のことである。
さて、そこで紹介する『東京物語』の舞台は昭和初期の東京。“大正ロマン”もいいけれど、“昭和モダン”のムードが味わえるのも本作の魅力だ。
主人公の桧前平介(ひのくま・へいすけ)は、出版社の新米編集部員。三つぞろいのスーツに中折れ帽をかぶり、日々原稿取りに勤しんでいるのだが、なぜか行く先々で事件に出会ってしまう!?
宝石盗難に、謎の暗号文事件……持ち前の好奇心と正義感の強さからついつい首をつっこまずにいられない。そんな平介のパートナーとなって、みごとな推理で事件を解決に導くのが謎の青年・草二郎。
日がな一日ぶらぶらしてる風来坊なのに、老若男女に愛される人気者。のんびりニコニコした見た目に似合わず、頭がキレるのだ。
平介&草ちゃんの凸凹コンビが繰り広げるミステリ連作集は、小気味よいドタバタ活劇と謎解きの楽しさがいっぱい。
絵柄はキュートだが、「刻限は午後七時」、「風見鶏の秘密」、「機械男爵の挑戦」等々いかにもな各話タイトルもレトロ気分を盛り上げる、サービス精神に満ちたエバーグリーンだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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