日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『でぶせん』
『でぶせん』 第7巻
安童夕馬(作) 朝基まさし(画) 講談社 ¥565+税
(2016年7月6日発売)
小さい頃から太っていて、ずっといじめられっ子人生を送ってきた福島満。一度は自殺を考えるも思いとどまり、趣味の女装癖を活かして(?)なぜか女教師として第2の人生をスタート!
みっちゃんが赴任した高校はめっちゃ荒れており、日々物騒な事件にあふれている。
できるだけ面倒なことには関わらないようにしてるはずなのに、気づけば修羅場のド真ん中に。
ヘタレだけど見た目のせいか悠々として見えるみっちゃんは、毎度何もしてないのに生徒をピンチから救ってしまうのだ。
本巻でもルックスにコンプレックスを抱え、母親の押しつける価値観に苦しんできた女生徒の心の傷をみごとにいやし……要はやる気のない『GTO』みたいな感じ!?
それでいて巻を追うごとに、なんだか先生らしくなってきたように思えるから不思議である。
いじめられながらじっと耐えてきたみっちゃんは、ちょっとやそっとのことは問題にしない、おおらかで優しいオーラを放っているのかも。草食動物がサバンナで生きぬくがごとく肉食獣に逆らわない、だけど最善を尽くす生き方がある……なんてね。
生徒たちの直面するシリアスなドラマと、二頭身キャラのみっちゃんが何が起こってるのかよくわからないまま右往左往する画面のギャップもすごい!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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