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9月12日は「宇宙の日」 『星の案内人』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/09/12


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

9月12日は宇宙の日。本日読むべきマンガは……。


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『星の案内人』 第1巻
上村五十鈴 芳文社 ¥590+税


9月12日、本日は「宇宙の日」である。国際宇宙年の1992年に制定された。
毛利衛氏が日本人として初めてスペースシャトルで飛び立ったのが、きょうなのだ。

無限に広がる大宇宙に対し、地球には人間が創りだした小さな宇宙が存在している。
そう、プラネタリウムだ。
きょうはそんな小宇宙を舞台にした物語、『星の案内人』をご紹介したい。

その田舎町には、謎の建物がぽつんと立っていた。
見た目には蔵か塔かという感じだが、「小宇宙」という看板がかけられたその建物は、私設のプラネタリウムだった。

たとえば道に迷ってしまった美容師が、書けなくなった小説家が、母校の小学校を訪れた青年が、その不思議な外観に惹かれてここを訪れる。
「小宇宙」の主は、投影機からドームまで手作りしたという老人だ。
いろいろな悩みを抱えてそこを訪れた人々はみな、宇宙を愛する老人の強い言葉に、自分の大切なものを見つけていく――。

作品の形式は1話完結の連作集。
その回ごとに、「小宇宙」を訪れたそれぞれの客人たちと呼応する、宇宙や星の物語がつづられていく。
老人が語るエピソードにはしっかりと血が通っていて、だからこそ客人たちの心のすみずみにまで届く。
宇宙はただ空にある天体の集まりではなく、星座もまた、星が並んで作られた形というだけではない。それを愛する人間によって語られれば、生命を持ったたしかな物語に変わるのだ。

居心地のよい「小宇宙」に惹かれる人々がひとり、またひとりと増えていって、いつしか小さなコミュニティを作り始めるところも素敵だ。
ストーリーの中心は、老人を手伝うトキオという少年。
トキオにはいくつかの家庭の事情があるが、小宇宙に来る客人たちと交流することによって、それがほぐれかけているところ。
話数を重ねるごとに点がつながって線になり、人々による新しい星座ができあがっていくのを見守るおもしろさがある。
どこか童話を思わせる、素朴で味わい深いリリカルな絵柄も魅力だ。

きょうから始まって、10月4日~10日の「国際宇宙週間」までを、「『宇宙の日』ふれあい月間」と呼ぶそうだ。
この約1カ月間には、宇宙関係の行事がたくさん行われる。

せっかくのこの機会に、近くのプラネタリウムに出かけてみるのもいいかもしれない。
最近のプラネタリウムは趣向を凝らしたプログラムも多く、心地よい、いやしの時間が持てること間違いなし。
今日のマンガを楽しんだあとで、ぜひどうぞ。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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