日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『銃座のウルナ』
『銃座のウルナ』 第2巻
伊図透 KADOKAWA ¥690+税
(2016年8月25日発売)
『銃座のウルナ』は、『ミツバチのキス』、『エイス』の伊図透が送りだす意欲作。
ひとたび見たら忘れられないインパクト絶大の戦争SFだ。
覇権国家レズモアにより、蛮族ヅードの居住地と定められていた北方の辺境にある小島リズル。
だが、この地で紛争が勃発。軍務に就いたレズモアの新米女性狙撃兵ウルナは、想像を絶する現実を目撃する……。
なんといっても驚かされるのは、蛮族ヅードの姿。ぱっくりと口を開けた巨大な歯と歯茎のみ……! 生物とすら思えない、あまりにグロテスクな異形感。
そして、戦いの残忍なやり口。生理的な嫌悪感は格別だ。
第1巻ラストで、ヅードと交わる生態系研究者・ラトフマを目撃し、ヅードに囚われたウルナ。
第2巻では、そのラトフマにより、ヅードの秘密の一端がほのめかされる。
なぜ、ヅードはこのような姿なのか? レズモアが紛争の裏で企む陰謀とは?
単純に国のために戦っていたはずの新兵ウルナは何を思い、どう行動していくのか、見逃せない。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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