日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『新装版 度胸星』
『新装版 度胸星』 第4巻
山田芳裕 講談社 ¥620+税
(2016年11月22日発売)
21世紀、人類はついに火星に到達した。
NASAによる火星探査計画「エンターフォー」の遂行中、消息を絶ってしまったクルーたちを救出するため、全世界に向けて救出チームの募集が呼びかけられる。
日本ではNASDA(現在のJAXA)が全国にクルー候補生を募ったが、そのなかには父親の遺志をついで火星行きを目指す寡黙だが意志の強いトラック運転手・三河度胸がいた……。
かつて「週刊ヤングサンデー」に連載されたものの、諸事情によってやや消化不良ともとれる終わり方をした『へうげもの』の山田芳裕によるSFサスペンスマンガが全4巻の新装版で講談社よりいっきにリリースされた。
事故の発端となった正体不明の物体「テセラック」と火星に残された宇宙飛行士の孤独な戦いが展開するかたわらで、地上では主人公の度胸たちが厳しい選抜訓練や試験を乗り越える“根性もの”の物語が繰り広げられた。
粗暴な父への反感からトラッカーらしからぬドカベン的キャラクターとなった度胸やライバルにして親友の筑前智、人の心が読める市原茶々など、個性的な火星派遣クルー候補生たちや、政権交代によって頓挫しかかる救出計画とそれを防ぐために孤軍奮闘するロシア(!)など、随所にアツい展開が見られて、今となっては本巻の終わり方が非常に悔やまれる。もっと続きが読みたくなってしまうのだ。
終わっているのに終わらない……それが『度胸星』だ。
<文・富士見大>
編集・ライター。特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わり、最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、「東映ヒーローMAX Vol.54」。絶賛発売中の『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー!』にも参加しています。