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12月16日は交響曲第9番『新世界より』の初演日 『新世界より』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/12/16


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月16日は交響曲第9番『新世界より』の初演日。本日読むべきマンガは……。


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『新世界より』 第1巻
貴志祐介(作) 及川徹(画) 講談社 ¥429+税


本日は、アントニン・ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』の初演日だ。

1893年12月16日の初演以降、『新世界より』は世界中で上演されるようになり、日本でもベートーヴェンの交響曲第5番『運命』などと並んで知名度が高い。
特に、穏やかな第2楽章と、1、2、3楽章の集大成的メロディがダイナミックな第4楽章は人気が高く、映像作品などでも多数使用されている。

今回紹介するのは、そんな交響曲と同名の作品『新世界より』。
貴志祐介の小説を原作とする本作の舞台は、超能力「呪力」を持つ人々の生きる1000年後の日本だ。

自然に囲まれた「神栖(かみす)66町」に暮らす主人公・渡辺早季と友人たち。
町の外への憧れから、夏季キャンプの際に立ち入り禁止区域に入ったことで、彼女たちの青春の日々は徐々に崩れ去っていく。

グロテスクな生物「バケネズミ」の存在など、序盤から登場する不穏な要素の数々から、読み始めからタイトルの「新世界」にいやな予感を抱かずにはいられない本作。
その予感は、超能力者の社会を管理する冷酷なシステムや、現代社会がそのような世界へと変化を遂げた経緯が明かされていくことで、確信へと変わっていく。

頻出する凄惨な展開には思わず目を覆いたくなるが、絶望に満ちた世界を必死に生き抜いた早季たちが迎える結末を見れば、タイトルにこめられた希望を理解できるはず。

新世界アメリカから、故郷ボヘミアをしのんで交響曲第9番を作ったドヴォルザークに思いをはせつつ、「新世界」を生きる人々を描いた本作にぜひふれていただきたい。



<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton

単行本情報

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