365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月3日はアラスカが州になった日。本日読むべきマンガは……。
『谷口ジロー選集 ブランカ』
谷口ジロー 小学館 ¥1,333+税
きょう1月3日は、アラスカがアメリカ49番目の州となった日である。
もともとは1867年にアメリカがロシア帝国から買収した領域であり、1912年に準州となり、そして1959年の1月3日に州へと昇格を果たした。
北米大陸にありながらアメリカ本国とは飛び地となっており、州内の土地のおよそ6割以上が国有地として管理されている。
大自然が手つかずのまま残る、まさに「ラスト・フロンティア」なのである。
そんなアラスカを舞台にした作品といえば、谷口ジロー『ブランカ』だ。
1匹の白い犬が、凍結したベーリング海峡を渡ってアラスカ西岸にたどりつくところから物語は始まる。
犬の名前はブランカ。作中の時代設定は東西冷戦の時代で、東側のエージェントはこの犬を「ブランカ」と呼ぶ。
ブランカはアラスカの凍土をひたすら走る。エージェントたちはハンターを雇い、ブランカの命を狙うが、ブランカは驚異的な身体能力と戦闘力を発揮し、難局を乗り越える。
このブランカはただの犬ではなく、東側の国の軍事機密に関わる存在のようだ。
ブランカはエージェントやハンターの追跡の手を逃れるように、ただひたすらアラスカの原野を走り続け、やがてブランカ自身に秘められた謎が作中でひもとかれていく。
のちに『神々の山嶺』や『シートン』でいかんなく発揮された谷口ジローの美麗な筆致が、凍てついたアラスカの大地と、荒々しくも知性あるブランカの躍動を美しく描き出す。
新春の厳かな雰囲気には、谷口ジローの描く大自然の世界観が似つかわしい。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama