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1月17日は「防災とボランティアの日」 『彼女を守る51の方法』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/01/17


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

1月17日は防災とボランティアの日。本日読むべきマンガは……。


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『彼女を守る51の方法』 第1巻
古屋兎丸 新潮社 ¥505+税


もう、あれから22年も経つのか……。

1995年1月17日・午前5時46分52秒、近畿圏広域で大地震が発生、兵庫県を中心に大阪府や京都府に甚大な被害をもたらした。
死者の数は判明しているだけで6434名にのぼり、戦後最悪(当時)の自然災害となった。

この阪神・淡路大震災は行政による対応の遅れが指摘された一方で、全国から自主的なボランティアが現地へやってきたことがクローズアップされた。
これをふまえ、内閣は1月17日を「防災とボランティアの日」とし、前後3日を含む1月15日~21日を「防災とボランティア週間」と定めた(災害時のボランティア活動に関する講演会、講習会、展示会などが全国で行われている)。

そんな「防災とボランティアの日」にぜひとも読んでほしいのが、古屋兎丸の『彼女を守る51の方法』。
防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実が監修した『彼女を守る51の方法 都会で地震が起こった日』をベースにした物語で、「東京に巨大地震が発生したら、どのようにサバイブすればいいのか?」が、帰宅困難者と化した若いカップルを主役にすえてスリリングに描かれる。

主人公は就職活動中の大学生・ジンと、ゴスロリファッションに身を包んだ美少女・なな子。
彼らは中学時代の同級生で、お台場で偶然再会を果たしたところで、大地震に見舞われる。お台場から13キロほど北に位置する早稲田に実家のある2人はしかたなくレインボーブリッジを渡り、徒歩で帰宅しようとするが、数々の困難が立ちはだかる。

液状化現象が起こる埋立地のお台場、怪しげな外国人がたむろする六本木、暴徒と化したチーマーが待ち受ける渋谷……。
収まらない余震のなか、空腹と疲労をひきずりながらひたすら早稲田を目指すが、都市部では恐怖を紛らわすために飲酒する男たちのモラルが崩壊し、性犯罪が多発!
「平和な日本で、本当にこんなことが起こるものだろうか!?」と戦慄するが、大災害の裏では常に性犯罪の危険性がつきまとうもの。レイプ被害にあった女性たちは、災害時に声をあげることすら叶わず、事件が埋没してしまうことが多いという。

そのほか、ぼったくり、略奪、暴動、病院の行列、デマの蔓延と、想定される最悪の事態が次々に。その一方で、意外な人たちがボランティアとして活躍する様もしっかりと描かれる。

本作品が描かれたのは東日本大震災が起こる5年前。
阪神・淡路大震災から10年以上の時が流れ、人々の記憶が風化しかけた2006年に「週刊コミックバンチ」にて連載が始まった。その意義は非常に大きなものだった。

災害マニュアルとして機能することはもちろん、マンガとしてのエンタメ性も忘れてはおらず、古屋の専売特許である美少女とユーモアもふんだんで、イッキに読まされる。
東日本大震災から今年で6年。再び我々の災害に対する思考が緩慢になってきた今こそ必読の全5巻だ。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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