365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月13日は苗字制定記念日。本日読むべきマンガは……。
『リアル鬼ごっこ』
山田悠介(作) 杉山敏(画) 幻冬舎
明治8年太政官布告第22号――これは、1875(明治8)年2月13日公布されたもので、すべての国民に姓、すなわち苗字を名のることを義務づけた日本の法令である。 別名「平民苗字必称義務令」。この法令をもって国民ほとんどすべてが姓名を持つという近代日本のスタイルが確立され、これを記念して「苗字制定記念日」が制定されたというわけ。
ちなみに、全国でもっとも人数の多い苗字は「佐藤」で、およそ189.3万人いる。2位以降に180.2万人の「鈴木」、「高橋」(142.4万人)、「田中」(134.9万人)と続く(2016年3月、リクルーティング スタジオ調べ)が、佐藤姓の圧倒的多さにはあらためて驚かされる。
「藤」がつく名字のルーツはだいたい藤原氏にあるとされ、「平安時代中期の藤原北家・秀郷(ムカデ退治で有名な俵籐太!)の子孫が左衛門尉となり、そこから佐藤という名字がおきた」などと由来は諸説あるが、日本全国にこれだけ佐藤さんがいるということは単純に佐藤氏の繁殖能力が旺盛なせいとは、いいがたいだろう。
そんな佐藤さんが「佐藤だった」というだけでさんざんな目にあう物語が、山田悠介の小説『リアル鬼ごっこ』。2001年に自費出版本として刊行されたが、発行部数200万部を超え、2008年より6本の映画が公開された話題作は、当然コミカライズされている。
西暦3000年、とある王国でついに500万人を突破した「佐藤」姓は、国王の命令によって、12月18日から1週間、1日のうち1時間だけ、鬼役の人間に追われるという「リアル鬼ごっこ」が開催される。
「佐藤」を効率的に抹殺するための殺人ゲームに、陸上部所属の大学生・佐藤翼は、生き別れの妹を追い求めながら必死で抵抗するが……。
杉山敏作画による本作は、およそ2カ月半という驚くべきスピードで202ページをしあげた作品だけあって、なかなかに荒けずりな絵柄。しかし、狂王の動機やストーリー展開がマンガならではのものに変わっていたりして興味を引く部分もある。
あ、ちなみに映画版第1作は石田卓也・主演で妹役を朝ドラ女優の谷村美月が演じている。
アニメ『時をかける少女』の千昭とメガネっ子の後輩が兄妹役かと思うと、これはこれでなんだか感慨深いですね。
<文・富士見大>
編集・ライター。特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わり、最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー!』。間もなく発売の「東映ヒーローMAX Vol.55」にも参加しています。