日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『グランマの憂鬱』
『グランマの憂鬱』 第2巻
高口里純 双葉社 ¥690+税
(2017年2月17日発売)
他人に関わると面倒のモト。何かあっても見て見ぬフリ、触らぬ神にたたりなし……そんな空気が蔓延する時代。
だけど、それって何かもの足りなくないだろうか?
家族以外の他人だから見えることもあるし、家族以外の人の価値観に触れて育つことって大事じゃないだろうか。
本作の主人公、百目鬼ミキは閉鎖的な村の女総領。やっかいごとが起こると村人たちは彼女の家にかけこむのが常だ。
不登校の中学生、村をロケ地としたドラマの主役を務める2世タレントくん……。
ミキは身のまわりで散見する小さな軋轢の種を冷静な目でながめる。おっと、彼女はけっしてイマドキの若者に厳しいわけではない。
ただ、今、彼らに必要のは何なのかを見定めているのであり、威勢のいい「喝!」「黙らっしゃい!」は“親”に向かうことも少なくない。
日頃はミキを「グランマ」と呼ぶ孫娘を溺愛しているのもほほえましい。
彼女いわく、孫は甘やかしてよし、教育するのは親の仕事。
和服をきちんと着こなし、常に背筋はピン。無駄な愛想は振りまかないけど愛情深い……最高にクールなおばあさんの名ゼリフが爽快な読みごたえがある。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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