本誌『このマンガがすごい!2014』にて、116ポイントという圧倒的な得票を得て、堂々の「オトコ編」ランキング第1位を獲得した『暗殺教室』。
その作者、松井優征先生のスペシャルインタビューを、『このマンガがすごい!WEB』限定のディレクターズ・エディションとして、前後編でお届けします!
(後編は→コチラ)
殺せんせーの真顔は、ちょっとずるい
――『このマンガがすごい!2014』の「オトコ編」ランキング第1位、おめでとうございます!
松井 本当にうれしいです。投票してくださった方にお礼をいいたいです。
――連載開始後、読者の反応はいかがでしたか?
松井 僕はTwitterなどのような、ダイレクトな反応はあまり見ません。なので、読者からの反応というと、読者アンケートを見るしかないんですが……、「これ以上ない順位」がかなりの期間続いたので、「なんかすごいぞ」と(笑)。
――では、わりと早い時期から「イケる!」と手応えを感じていたわけですか?
松井 殺せんせーの真顔を原稿に描いたとき、「イケる」というか「ちょっとずるいな」と思いました(笑)。『ネウロ』のときに、血を吐く思いで取りにいったひとつの笑いが、マル書いてチョンの絵で獲れてしまうので。
――松井先生の作品は、キャラクターの表情がすごく豊かですよね。『ネウロ』後半、松井先生自身「顔芸になってしまった」と仰っていましたが、それに対して殺せんせーはすごくシンプルな顔ですね。
松井 そうですね。もともと、人外のものに表情を持たせるのが好きで、たとえば髪の毛にハートマーク出させたり、車に汗をかかせたりするだけで、マンガでは立派な表情になるじゃないですか。殺せんせーみたいに目と口がそろっていれば、むしろ表情を描くには十分すぎるんです。
「起立、礼」で生徒が一斉射撃したら……?
――松井先生の作品ですと、本誌ランキングで『ネウロ』が2008年に30位、2010年に47位にランクインしたことがあります。『ネウロ』の連載終了(「週刊少年ジャンプ」2009年21号)から『暗殺教室』の連載開始(同2012年31号)まで少し時間があきました。そのあいだのお話をお聞かせください。
松井 ずっと次回作の準備をしていたんですよ。ただ、連載会議を通らなかったんです(笑)。
――この期間には「少年ジャンプNEXT!」で「松井優征がウーパールーパーを食べる企画」というレポート作品を発表したり、「ジャンプLIVE」で「JOJO’s Kitchen 荒木飛呂彦パスタを作る」に出演したり……。ご自身では「体験オタク」といってましたが。
松井 体験的な企画モノを意識的にやっていたというか……45ページの読切マンガを描くよりは、8ページの体験レポートを描くほうが楽だし、楽しいからです(笑)。だから今後も、おもしろそうな企画の話をいただけたら、どんどん受けていきたいなと思っています。
――この時期、連載用には別の企画を進めていたんですね。
松井 そうですね。最終的にはこれ(『暗殺教室』)をポンと出したら、ポンと通りました。(『暗殺教室』の企画が)ポンと通ったので、準備期間は3カ月くらいしかなかったんですよ。
――どういったときに、『暗殺教室』のアイデアが浮かんできたんですか?
松井 ベッドで寝てマンガを読んでいたら、ふと「『起立、礼』で生徒が一斉射撃したらおもしろくね?」と思い、あとはその日のうちに2~3時間で、話全体のプロットができていたように記憶しています。
【後編へ続く】
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取材・構成:加山竜司・編集部