公開直後から大好評! 本誌『このマンガがすごい!2014』の「オトコ編」ランキング第1位に輝いた『暗殺教室』作者インタビュー、web限定ディレクターズ・エディションも後編に突入。
今回は松井優征先生に、独自のキャラクターを生み出す秘訣、こだわりの読者サービス、影響を受けた作品群などを聞きました!
(前編は→コチラ)
ビッチ先生は出番が多いと……すぐ飽きます(笑)
――『暗殺教室』には、殺せんせー以外にもたくさんのキャラクターが出てきます。E組だけでも、26人(+転校生2名)もいますね。
松井 カブらないように描き分けるので精一杯です(笑)。
――キャラクターのモデルって、いるんでしょうか?
松井 ほとんどいません。
――作中のモノローグは、潮田渚のセリフですよね。彼が主人公、ということでいいんでしょうか?
松井 そうですね。同年代の読者が感情移入しやすい最大公約数として、このキャラクターを作ったつもりです。
――描いていて楽しいキャラクターは誰ですか?
松井 ビッチ先生でしょうか。表情も服装も、シリアスからコミカルまで幅広くいじれるので。でも出番が多いと、髪の毛描くのめんどくさいし、その週のうちにすぐ飽きます(笑)。
――女性キャラクターを描くときは、自然と「自分の好きなタイプ」に似てきたりしますか?
松井 というより、どんな女性でもそれぞれ好きなところがあるので(笑)。それを反映させるようにしています。
原稿に隙間があいたら詰め込みます
――コミックスのカバーや表紙でのサービス要素についてお聞きします。コミックス5巻の著者近影のコメントを見ると、かなりこだわりを持って作っているようですね。
松井 カバーの色ですが、奇数巻は単色、偶数巻は2色の組み合わせ、という順序で進んでいます。この、組み合わせのとき(偶数巻)が大変なんです。
――と、いいますと?
松井 特に6巻で悩みました。地色が寒色である点もそうですが、×マーク(殺せんせーの表情)が目立ちすぎると深層心理的にお客さんを遠ざけてしまうのではないか、と。ですから見本は、じつに十数種類も作ってもらいましたし、直前までずっと迷っていました。
――結局、どのような点でゴーサインを出したんですか?
松井 最終的には自分が「好き」と感じた青と、それに合う×(の色)ということで落ち着きました。
――表紙も凝っていますよね。カバー下の本体表紙は殺せんせーの表情の解説、裏表紙は殺せんせーの「触手語録」があります。本体表紙で遊ぶことは、ジャンプコミックスでは珍しいことですよね?
松井 そうですね。雑誌で読んだうえに、さらにコミックスを買ってくださるお客さんがいる以上、なるべく多くのプラスアルファのサービスは必要だと思っています。これは『ネウロ』のころから大事にしている要素でもあります。
――作中のサービス要素として、松井先生の作品にはパロディの小ネタがたくさん出てきますよね。
松井 はい。「ぶっこめるならぶっこもう」というスタンスなので、原稿に隙間があいたら急きょ詰め込んだりします。
――松井先生は、小・中学生時代はあまりマンガを読まなかったそうですが、お好きなマンガ作品は、どのあたりでしょうか?
松井 『ドラゴンボール』(鳥山明)、『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦)、『キン肉マン』(ゆでたまご)、『エリア88』(新谷かおる)、『マンガ日本の歴史』(石ノ森章太郎)あたりでしょうか。
――以前、「週刊少年ジャンプ」巻末の作者コメントで、挿絵画家の石原豪人先生がお好きだと書いていました。どのような経緯で興味を持つようになったのでしょうか?
松井 小さいころ、子ども向け文庫で『少年探偵団』(江戸川乱歩)のシリーズ全集が家にあったんです。その挿絵を担当しているのが石原豪人先生でした。このシリーズは子ども向け……のはずですが、文章の江戸川乱歩先生、挿絵の石原先生ともに抑えきれないエロスが噴出している(笑)。自分の性的な感覚がもし歪んでいるとするなら、まちがいなくアレのせいです(笑)。グロイ絵もさることながら、美人絵なども不安にさせるほど綺麗ですよ。
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取材・構成:加山竜司・編集部