クールで無表情な冬吾の、じわじわくる天然のかわいらしさ!
――重い設定ではありますが、くすっと笑ってしまうシーンが多いのもじつはリアルなのかもしれません。「人はどんな時でもおなかが空く」みたいなことを思い出します。キャラクター像はもとの小説とほぼ同じですか?
小西 変わったのは夏美の明るさを強調したのと、冬吾に天然の要素を入れたくらいですかね。けっこうギャグ要素を入れていますが、小説ではそういう雰囲気はなかったです。
――読み進めるうちに、冬吾のかわいさが見えてくるのがいいですね。
小西 1話目では、冬吾のよさがわかりづらいと思うんです。そもそも夏美が冬吾をかっこいいと思っていなかったので。「男前」と言わせてはいますが、それはあくまで見た目のことで。「どこかでかっこいいシーンを入れないと」と思って、踏み切りのシーンをつくったんです。ここは初めて冬吾の魅力が伝わるシーンなので、なんとかここまで読んでもらえるように話を組まなければと思って描いていましたね。
――冬吾はクールで淡々としているだけに、「行動」で必死な感情が表に出るシーンは威力があります。
小西 このシーンは描くのに時間もかけましたし、思い入れがあります。イメージにあう踏切を求めて、いろんな踏切の写真を撮りに出かけましたね。都会でも田舎でもない土地で、人がたくさんいすぎないほどよいサイズの踏切……みたいな。
――冬吾は、春が亡くなったあと、どうしてこんなにすぐ夏美とつきあうことを切り出したのでしょう。
小西 私は冬吾はものすごく冷たい人間だと思っていて……だからそれができるのだと思うんです。春のことは本当に婚約者としか思っていなかったんじゃないかと。
――春への優しさも偽りではないけど、それは婚約者としての誠実さをまっとうした、みたいな?
小西 世間一般的な務めを果たしたという感じでしょうか。
――夏美のことが気になっていたとしても、普通は夏美にも気遣いしそうなものですよね。
小西 冬吾の夏美への想いは、最初は恋愛感情というより純粋に「興味」だったと思います。
――天然ゆえに、気遣いより興味がストレートに出てしまったと。
小西 まだ口説くという意識はなくて……。まあ正直、冬吾はもっと冷たい路線で描こうと思っていたのに、だんだんかわいさが見えてくるようなキャラクターになっていったというのがあるかも。
――夏美といっしょにいる時に、素の面が引き出しされるともいえますね。
小西 冬吾って完璧な大人のように見えて、子どもみたいなところがあるんですよね。
取材・構成:粟生こずえ
本作の制作の裏側にあった、小西先生が体験された家族との別れ……。しかしそこで小西先生が体感したもの、すべてが本作のマンガづくりでの大きな要素となっていたようです。
そんなわけで、今回はここまで! 続編となる、小西先生のインタビュー第2弾を1月27日(金)アップ予定です!! 次回は『春の呪い』制作秘話や、小西先生のマンガ・ストーリーづくりの裏側に迫っちゃいます! ぜひチェックしてください!
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