だれかに恋をするのは、こんなにステキで、
こんなにときめいて、こんなに胸が苦しくなる!
みなさんもご存じのとおり、“恋”というのはだれもがいつでもうまくいくわけではありません。それは相手との相性だったり、互いの接し方だったり、タイミングだったり、ちょっとした時の運だったり……複雑怪奇なシロモノなのです。
『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』
筏田かつら 宝島社 ¥640+税
(2017年03月25日発売)
このお話に登場する靖貴も恵麻も、普通に“恋”をしただけの高校生です。
たったそれだけなのに、2人が会話をしているだけで胸がドキドキしてしまったり、距離がちょっと縮まれば「よし! 行け!」と背中を押したくなったりしてしまいます。
「恋をするのって、こういうことなんだ」と(懐かしく)感じることができる作品です。
ありえないはずの恋をした、
地味系男子と派手系女子はどういう関係?
高校3年生の飯島靖貴は地味で主張の弱い性格で、オタクの友人と仲良くしているうちに、いわゆるスクールカーストの最底辺に居ついてしまっていました。入学したてのころの出来事のせいで、恵麻に対しては「イヤな女」という印象を持っています。
けれど高3の夏、勉強合宿の夜に足を怪我して困っている恵麻を放ってはおけず、自分のスニーカーを貸して助けてあげたのでした。
この些細な出来事をきっかけに、2人の関係は動き出すのです。
靖貴から見て北岡恵麻は、ギャル系の外見をした女子。ピアスにネックレス、化粧も決まっていて、オタク系男子からすれば近寄りがたい存在です。けれど彼女は彼女で思い悩むことがあったのです。女子同士の本音を言えない関係にやきもきしたり、幼馴染みを彼氏と勘違いされていたり……。加えて、もともとのあまのじゃくな性格もあって、自分の想いを素直に伝えられないのでした。
互いに自分の恋心を自覚してはいるけれど、相手が自分のことをどう想っているのか訊くことができません。 恵麻は「私の想いに気づいてよ」と思いながら。 靖貴は「そんなことありえない」と思いながら。
前巻のレビューを引用していえば“高校生らしい自意識と遠慮と思いこみ”が、じれったいすれ違いを生んでいきます
飯島靖貴(いいじま・やすき)
南総高校3年。男ばかりの理系クラスの中でもとりわけ目立たない地味な男子。郷土地理研究会という文化部に所属。過去のある出来事で、恵麻のことが苦手だったが……。
北岡恵麻(きたおか・えま)
恵まれた容姿で、スクールカーストの頂点に立つ美少女。靖貴のクラスメイト。靖貴とはほぼ関わりがなかったが、合宿で助けられてから、徐々に彼を意識しだす。
磯貝久美子(いそがい・くみこ)
恵麻の小中学校時代の友達。私立の女子校に通う。電車のなかで恵麻と一緒にいる靖貴と偶然出会い、同じバンドのファンであることから親交を深める。
田村ななみ(たむら・ななみ)
靖貴の部活仲間。同じ中学出身のくされ縁で靖貴を「めっしー」と呼ぶ。学業優秀な才女で性格はドライ。また武道の達人でもあり、趣味は筋トレ。
受験の時期が近づく1月。
2人の関係は……以前よりも離れていた
前巻を読んだ方(そう、この物語は2巻構成だった!)なら、ページをめくり終えた時に「
えーーーーー!?」「マジか……」という、なんともいえない読後感に襲われたと思います。
その続き……完結編となる『君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業』が、ついに発売となりました!
帯にはなんと! 女優・歌手の上白石萌音(かみしらいしもね)さんからのコメントが! 彼女のステキなコメントは、ぜひ実物でお確かめください。
『君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業』
筏田かつら 宝島社 ¥640+税
(2017年07月06日発売)
12月の終業式の日に靖貴が耳にしてしまった恵麻の言葉……。
そのせいで、二人の距離はどんどん開いていってしまいます。新年になってから恵麻を避け続ける靖貴は、バレンタインデーに思いもよらない呼び出しを受けることになって……。
まだまだすれ違う2人の関係。不穏な噂。押し寄せる受験。迫る卒業。すれ違い続ける2人の関係に、ラストまで目が離せません。そして最後には、思わず叫びたくなること間違いなし!
そして、特別収録の番外編では、ニヤニヤしてしまうシーンが満載です。
“ありえないはずだった”恋の行く末、お見逃しなく!