ゴキブリに「世界三大奇虫」…… そのキモさに耐えられるか?
『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)をはじめとする、動物本ブームが巻き起こっている昨今。かわいらしい動物たちのクスッと笑えるエピソードにほっこりした、なんていう人も少なくないだろう。そんななか、異色ともいえる、なんともシンプルなタイトルの動物図鑑が発売された。
『キモい!生きもの』
監修:今泉忠明 協力:テレビ愛知企画
宝島社 ¥1,400+税
(2019年1月17日発売)
苦手な読者もいるだろうから、先に告白しておこう。これは、王道のキモさを誇るゴキブリ、さらにその奇妙な姿形から「世界三大奇虫」と呼ばれる珍しいいきものなど、絶対に会いたくないキモい生きものたちばかりを厳選した異色の図鑑だ。今回は特別にその一部、絶妙にキモい生きものたちをチラッと紹介しよう。
イボイボを直視できない! ベトナムに潜むコケガエル
ブツブツが苦手な方は見るにも耐えないだろう、激しくブツブツなイボを見にまとっているコケガエル。ベトナムに住むこのカエルは、川の近くの岩や木の幹に密集している菌類やコケに溶けこむため、このような姿になったと考えられている。自然界は食うか食われるかのサバイバルな世界。これは、そんな過酷な環境を敵に見つからずに生き抜くために必要だった「キモさ」といえるだろう。写真ではドーンと迫力ある風貌でまったく隠れていないように見えるが、実際は6~8センチほどの小さなカエル。見つけるのは至難の業なのだ。
カマキリなのにカマがない!? ゴキブリが祖先のケンランカマキリ
こちらは、マレーシアに生息するカマキリの仲間。カマキリというと緑色したカラダに2つのカマを持っている姿を想像する人が多いだろう。だが、このケンランカマキリはまさかのカマなしのどっしり寸胴型。そして、目を奪うような美しいメタリックボディが特徴だ。驚きなのは、その見た目の珍しさだけではなく、なんと彼らの祖先がゴキブリに近いってこと。たしかに、ゴキブリといわれてみると……ゴキブリに見えないこともない。ちなみにこのケンランカマキリはゴキブリのように素早く動きまわるという……うーん、遭遇したくないものだ。
そのキモさには理由がある! 動物学者・今泉忠明先生の生態解説も必見!
ほかにも特定のカエルしか食べない「超偏食家のヘビ」や、かわいらしいが「鼻以外はつるっぱげのモルモット」などふしぎな生きものたちをオールカラー写真つきで紹介している。もちろん、ゴキブリやムカデなどもたっぷり載っているので、ゲテモノ好きも大満足のボリュームとバリエーションを約束しよう。
また、すべての生きものたちに動物学者・今泉忠明先生監修のわかりやすい解説文がある点にのも注目。学習要素もしっかりあるのだ。解説を読めば、思わず目をそらしたくなる彼らがそのキモい出で立ちのまま今日まで存在している本当の理由に辿り着くことができる。一癖も二癖もあるキモさの秘密をその目で確かめてほしい。
昆虫食レシピに360℃体感できるVR動画、そして……
さらに、本書には図鑑以外の要素も充実。ちまたで話題沸騰中(?)の「コオロギ団子」や「ミルワームチョコバナナ」といった昆虫食レシピも掲載している。ちょっとした手みやげに最適な「昆虫食のおみやげ」もぜひチェックしておきたい。
まだまだある。本書の目玉のひとつでもあるのが、VR動画だ。まるで生き物のゲージのなかに自分が入りこんだかのような臨場感の「360℃動画」は文字通り、“本”という枠を超えた、キモさを体感できる。
さらに、友だちにドッキリを仕掛けられる「キモしおり」も特別収録。これは、丸太にまとわりつく無数のゴキブリの美麗(?)で鮮やかな写真が印刷された特別なしおり。正直、見るのもおぞましいものだが、これを本や教科書に挟んで、友だちに渡すと……ぜひお試しいただきたい。
じつはそのほかにも仕掛けは満載! なのだが、この続きは本書を実際に手にとって確認していただければと思う。「震えるキモさに挑戦したい」――そう思った勇敢な読者のみなさん。
ぜひ、本書を読んで体感してみてくれ。
<文・宮本香菜>