人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、平尾アウリ先生!
『このマンガがすごい!2017』オトコ編第12位にランクインした『推しが武道館いってくれたら死ぬ』。
主人公は、岡山県で活動している地下アイドルグループ「Cham Jam」。本作は、そんな彼女たちと接触できる時間を1分1秒でも伸ばすため、すべての時間とお金を捧げる伝説の女オタ、「えりぴよ」さんをはじめとしたオタクたちの奮闘を描いたマンガです。
前回は、アイドルオタク(いわゆる“ドルオタ”)を題材にした理由や、平尾先生のアイドルに対する想い、「Cham Jam」メンバーのイメージモデルとなった人物についてなどをおうかがいしました。
今回は、平尾先生が漫画家を志すきっかけや、影響を受けたマンガなど、平尾先生のパーソナルな部分を中心にお話をうかがいました!
マンガ王国・岡山に生まれるも……?
――じつは以前、大谷紀子先生にインタビューをさせていただいた際に、「岡山はマンガ王国」との話になりました。平尾先生も岡山出身ですよね?
平尾 岡山には漫画家になられた方がかなり多いですよね。じつは家の近くにも何人か住んでおられましたし、遊んでいただきました。
――ではそういった環境が、漫画家になるに際して影響したのでしょうか?
平尾 ですが、私の場合は、そんな恵まれた環境のなかにいながらまったく夢のない話なのですが、定職にも就かずふらふらと生きていたところ、親に「就職しろ」といわれたからです……。
――あら。それがきっかけなんですか?
平尾 それまでもマンガは描いていたので、就職活動をするのならば、とその時間をあてて、マンガを描いて投稿してみました。運よく徳間書店の方に拾っていただけて、両親も応援してくれています。
――小さい頃に好きだったマンガは覚えていますか?
平尾 初めて購入したのは彩花みん先生の『赤ずきんチャチャ』です。それと『魔方陣グルグル』(衛藤ヒロユキ)が好きでした。両親がマンガを読まないので、あまりマンガを知る機会がなく、高校生になってから手塚治虫作品をたくさん読みました。
――具体的に影響を受けた作品となると、どのあたりでしょう?
平尾 やまがたさとみ先生(代表作に『うそつき*ラブレター』など)と雁須磨子先生(代表作に『つなぐと星座になるように』など)のお描きになる間合いがとても好きで、シリアスパートだと特に影響を受けているはずなのですが、現状でコメディしか描いていないのでわかりづらいですよね。
――ちなみに、現在アナログとデジタルの割合って、どれくらいですか?
平尾 雑誌の表紙のカラーはリテイクが入っても直しがきくようにデジタルですが、それ以外はすべてアナログです。
――アナログの主線はどんなペンをご使用ですか?
平尾 筆圧が高いのに主線は丸ペンオンリーという手に負担しかかからない描き方をしています。主に使うのはタチカワの丸ペン、瞳のなかや髪の毛は日光の丸ペンです。それ以外には特殊な画材は使っていないどころか、本当にそのへんにある適当なもので描いてしまったりしています。
――今の作業体制は?
平尾 アシスタントは今3人の方にお願いしていますが、部屋が狭いもので、3人の方をローテーションでひとりずつか2人ずつ、この背景だとあの子の線がいいな、あの子のトーンワークがいいな、みたいな感じでこちらで判断して来ていただいています。
――今描いていて、どこに一番楽しさを感じていますか?
平尾 動いているアイドルを描けることが何よりも幸せです。
――では、反対に苦労されている点は?
平尾 困っているのは私の作業ペースが、おそらく、みなさまの想像のつかないほどに遅いことのみです。
――さて、気になるのは今後の展開です。
平尾 第3巻の発売は、6月13日でしょうか。作中ではまだ半年しか経っていないので、行事ごとにあるイベント系ライブをまだしばらくは描いていきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
――ありがとうございました!