特定ジャンルに詳しい「目きき」の人たちに、テーマ・著者・出版社……といったカテゴリ別に、必読のマンガ作品を教えてもらうコーナー、その名もズバリ「目ききに聞く」!
今回の「目ききに聞く」は、宝島社から先日発売された『別冊宝島 ビックリマン 悪魔VS天使編 全シール大図鑑』にて、資料の提供などで協力していただいた、トイカード&おまけシールコレクターのRitzさんに、オススメのマンガをうかがってみました。
「ビックリマン」シリーズを中心とした膨大なコレクションで知られるRitzさん。
そんな国内有数のホビーコレクターが、毎号「読みたい!」と思い、購入しているマンガ雑誌は何なのか? うかがってみたところ、講談社の青年誌「イブニング」との答え。注目のキッカケは、「ウルトラジャンプ」で連載していた木城ゆきと『銃夢 LastOrder』の移籍だったそうです。
Ritzさんが「ビックリマン」と同じくコレクションに情熱を傾けている、レッドカンパニー(現:レッド・エンタテインメント)の関連グッズ。広井王子&レッドカンパニーによるライトノベル『蜃気楼帝国』のイラストを木城ゆきと氏が担当していたことから、今も木城ゆきと作品を追い続けているとのこと。まさにコレクターの鑑!
そして現在では、『銃夢』以外にも「雑誌を買い続ける原動力」となっている作品が「イブニング」に増えているとか。
マンガ雑誌の求心力低下が叫ばれる現在、コレクターに「これを読むために雑誌を買う!」と決心させる作品とは、どんなものなのか?
Ritzさんのオススメ3作品、ご覧ください!
Ritzさんイチオシの3作品
『銃夢火星戦記』木城ゆきと
『銃夢火星戦記』第1巻
木城ゆきと 講談社 ¥620+税
(2015年5月22日発売)
「ビジネスジャンプ」「ウルトラジャンプ」「イブニング」と、かれこれ25年ほど続く「銃夢」シリーズの最新作。
リスタートのためまだ助走期間といった感触ですが、銃夢としての世界観は健在です。
従来からの読者としては、ゆっくりとした進行にやきもきしますが、時々垣間見える設定や火星との因縁にくすぐられ、じらされまくっています。
無印版では「Fight」、『LO』では「phase」だったタイトルカウントが本作から「Log」になり、より話に重きが置かれた「銃夢」シリーズが見られるかと楽しみにしています。
新規ファンを獲得し「イブニング」の看板として育ってほしいところ。現在の進行がゆっくりと感じる方は、ぜひ前作を読んでいただきたい。
ちなみに、あのジェームス・キャメロンが映画化の権利を持っており、2017年に映画化される……との噂もありますね。
『累 -かさね-』松浦だるま
『累 -かさね-』第6巻
松浦だるま 講談社 ¥571+税
(2015年7月23日発売)
『銃夢』をきっかけに読み始めた「イブニング」作品その1。
不幸な少女が不思議な“魔法”を手に入れて幸せをつかむが、それがさらに不幸を呼び込んで……。
こういう作品と書くと月並みな感じになりますが、空気感がすごい。できのよい演劇を観た時のように、空気に飲まれる雰囲気が味わえます。
ゆうきまさみさんに見出されたというエピソードも、読むようになったきっかけです。
『海賊とよばれた男』百田尚樹(作)須本壮一(画)
『海賊とよばれた男』第5巻
百田尚樹(作)須本壮一(画) 講談社 ¥590+税
(2015年8月21日発売)
『銃夢』をきっかけに読み始めた「イブニング」作品その2。
戦後間もない日本。敗戦で失意に包まれる人々のなかで、店員を集めて毅然と次なるビジョンを説く男がいた。その男=国岡商会店主・国岡鐡造の生き様を描きます。
漢と漢の友情やぶつかりを経済でやっている、そんな作品。静かに、熱い!
主人公のモデルは出光の創業者出光佐三氏です。
原作は、今回この文章を書いた際に、その存在を知ったクチ。
原作を知らなくてもマンガとして違和感なく、そして「熱く!」読めてしまいます。