話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『このマンガがすごい! comics 前田利家』
『このマンガがすごい! comics 前田利家 上 天下無敵!槍の又左』
永井豪・ダイナミックプロ作品 宝島社 ¥630+税
(2017年2月20日発売)
永井豪の名前を聞いた時に、どのような作品を思い浮かべるだろうか?
彼の代表作には『デビルマン』や『バイオレンスジャック』のようなアクションものもあれば、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』のようなロボットアクションもある。
あるいは『キューティーハニー』や『けっこう仮面』といったお色気アクションもあれば、『ハレンチ学園』や『あばしり一家』のような、強烈なコメディ作品もある。
現在「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載中の自伝的作品『激マン!』シリーズを見てもわかるとおり、とにかく永井豪は多作だ。
ジャンルの幅が広く、多作。それはまさしく師匠・石ノ森章太郎や、手塚治虫へとさかのぼるマンガ・マエストロの系譜といえる。
そんな永井豪が平成に入ってから注力しているジャンルが歴史物である。
『北条早雲』や『伊達政宗』、立川文庫の書き講談を元にした「豪談」シリーズなど、歴史上の人物を題材にした作品を次々と手がけてきた。
そもそも永井豪は、石ノ森章太郎(当時「石森章太郎」名義)のアシスタントになるより以前の予備校生時代に、「殺刃者」(リイド社「増刊 乱 TWINS 戦国武将列伝20」2008年2月増刊号に永井豪画業40周年記念として掲載)という、戦国時代を舞台にした忍者アクション作品を持ちこみ用に描いているように、永井豪にとって歴史ものは、いわば長年温めてきた企画と言えるのかもしれない。
本作『前田利家』は、そのような流れのなかで描かれた作品である。