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『デビルマンサーガ』第1巻 永井豪とダイナミックプロ 【日刊マンガガイド】

2015/07/26


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『デビルマンサーガ』第1巻
永井豪とダイナミックプロ 小学館 \741+税
(2015年6月30日発売)


鬼才・永井豪の最高傑作のひとつにして、日本コミック史に燦然と輝く不朽の名作『デビルマン』。その最終章とされる『デビルマンサーガ』が、「ビッグコミック」(小学館)で連載中だ。

永井本人の手による『デビルマン』関連作といえば、現在では本編に組みこまれることもある『新デビルマン』のほか、“その後のデビルマン”が登場する『バイオレンスジャック』『デビルマンレディー』などが有名だろう。

近年でも『デビルマン』執筆当時のできごとをフィクションを交えて振り返った自伝的コミック『激マン!』、さらにテレビアニメ版寄りの世界観で描かれた『デビルマン対ゲッターロボ』を手がけており、40年ぶり(の新作『デビルマン』)という売り文句に、あまりピンとこない向きもあるかもしれない。ただ、これまでの作品群とは大きく趣きの異なる『デビルマン』であることも、またたしかだ。

たとえば、アモンやシレーヌといった馴染み深いキャラクターが登場するいっぽうで、不動明は不動勇希、飛鳥了は竜アスカとネーミングが改められている。年齢も上がっており、勇希は高校生ではなく、美紀≒牧村美樹を妻に持つ若きロボット学者だ。
また、これまでとは悪魔の設定も違う。『デビルマン』における悪魔=デーモンは、宗教文化に根ざしたオカルティックな存在ではなく、他者との合体能力を有する地球の先住人類というSF的な解釈がなされたものだったが、『デビルマンサーガ』の悪魔はデーモン・アーマーと呼ばれるメカニカルな鎧を身につけた宇宙戦士なのである。
スーパーロボットの代名詞ともいえるマジンガーZを、鎧をまとった超能力戦士として再定義した『マジンサーガ』を彷彿とさせる設定アレンジだ。

こうした基本設定の変化は、物語にも大きく影響しており、「この先、どんなデビルマンが出来るのか!? 作者の私にも分からなくなった」らしい。
ちなみに『マジンサーガ』には、生体機械獣の一体としてサイコジェニーが、神皇帝・地獄の孫として不動明が登場しているが、今度は逆に『マジンガーZ』を原典とするキャラクターが、デビルマンワールドに降臨することもあるかもしれない。

予測不能の最後の『デビルマン』、要注目でガス!



<文・ガイガン山崎>
暴力系エンタメ専門ライター。田中要次を見かけるたび、カイムの最期に想いを馳せるロマンチストです。好きな妖獣はゴンドローマ。

単行本情報

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