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12月25日は「スケートの日」 『銀のロマンティック…わはは』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/12/25


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月25日はスケートの日。本日読むべきマンガは……。


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『銀のロマンティック…わはは』
川原泉 白泉社 ¥381+税


12月25日はスケートの日。
イギリスの博物学者であるトーマス・ライト・ブラキストン(ブレーキストン)が1861(文久元)年の同日、滞在していた函館にて、日本で初めてスケートを滑った、とされる説によるものである。

ブラキストンの名は、生物学に詳しい人ならピンとくるかもしれない。津軽海峡を東西に横切るラインに、動植物分布の境界線がある、とする「ブラキストン線」を提唱した人物でもある。

さて、そんなスケートの日に読むなら、現在盛り上がっているフィギュアスケートのみならず、かつて日本にも黄金期があったスピードスケートにも注目したいところである。
この無茶な希望にぴったりなのは、『笑う大天使』などでも知られる川原泉の名作『銀のロマンティック…わはは』ではないか。

世界的バレリーナの娘である由良更紗と、大ケガを負ったスピードスケーターの影浦忍のコンビが、フィギュアスケート・ペアで世界を目指す、スポーツありコメディありのストーリーだ。

約30年前の作品ということで、採点方式が6.0システムだったり、ブライアン・オーサー(今は羽生結弦選手らのコーチ)が選手の例として登場したりと、当時のスケート界の様子もうかがえて興味深い。

現在のスケート界を見渡せば、男女シングルはまさに世界レベルだ。
しかし、ペアにおいては、高橋成美選手などが登場して当時よりはさすがに強くなったとはいえ、国内の層はやはり薄いままのようだ……。
そんな時代に、更紗と忍は現在でもごく数人の男子シングル選手しか跳べないクワドラプル・ルッツを、更紗宅の飼い犬・ポチに教わりながら(!?)2人とも会得してしまっている! それほどに、身体能力が非常に高い更紗と忍がぶつかった壁は、情緒面であった。

「銀のロマンティック」と称された、男女ペアならではの熱い情感に満ちた氷上の芸術を、日本人のなかでもとりわけ色恋沙汰にうとかった2人が、はたして表現することができるのか……?

非・恋愛体質乙女たちの幸福論を描き続けて来た川原泉作品らしく、2人が幾多のハードルを、シニカルな笑いとともに越えた先にあるのは、恋愛よりも尊いものだった。

だれかとともに夢を見て、なしとげようと手を取りあえる喜び。更紗と忍がたどりついた『銀のロマンティック…わはは』(タイトルの意味も読めばわかる!)の感動は、フィギュアファンだけでなく、広く心に訴えかける。

クリスマスの喧騒のなか、この記事を読んでくれているあなたへ。
ぜひ、イルミネーションよりももっと素敵な「きらめき」も、味わってください!



<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWEB記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生に関わる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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