『グレンダイザーギガ』第1巻
永井豪&ダイナミックプロ 秋田書店 \562+税
(2015年4月20日発売)
マジンガーシリーズに「亡国の王子」という要素を持ちこみ、海外でも高い人気を誇る『UFOロボ グレンダイザー』。
2015年は、その『グレンダイザー』40周年にあたる年。そして本作『グレンダイザーギガ』も、永井豪自身が40年ぶりに手がける『グレンダイザー』である。
とはいえ本作は、主人公の名前が「リューク・フリード」(旧作品ではデューク・フリード)となっており、そのほかの主要キャラクターや施設の名前も少しずつ変わっている。
そこからもわかるとおり、まったく新しい物語である。
『マジンガーZ』や『デビルマン』などほかの永井豪作品にはいくつもの派生作品があるが、『グレンダイザー』はこれが初の派生作品となる。そして「ギガ」というだけあって、これまでおなじみだった『グレンダイザー』と比べて様々なところがギガ級にパワーアップしている。
なかでもわかりやすいのが、まずグレンダイザーと合体して円盤となるスペイザーが、メチャクチャにデカい! 必殺技も超ダイナミックにパワーアップ!! とにかく「絵で見てほしい」の一言に尽きるのだが、とんでもない無敵のスーパーロボットぶりを発揮している。
さらに等身大のキャラクターもヤバい。アニメでは中盤から登場するマリアなどは、妹キャラをかなぐり捨ててリューク・フリードの姉……どころか、その正体は超武闘派アンドロイドだ!
そして、むしろこれが目玉? という気がしないでもない、『キューティーハニー』や『あばしり一家』のキャラクターもクロスオーバー! ハニーはもちろんのこと、どう見たって直次郎の「直 次郎」という名の牧童頭、さらに団兵衛(『グレンダイザー』にも『キューティーハニー』にも『あばしり一家』にも登場しますからね!)までもがサイボーグとなって大暴れ。
ベガ星団の尖兵を相手にバイオレンスのかぎりを尽くすのだから、永井豪ファンにはたまりません。
この第1巻は、そんな感じでほとんどバトルのターン。
世に多くある、いわゆる“リブート作品”はなんだか小難しく、理屈っぽくなっちゃいがちですが、本作はそんなムードは皆無。そこが最高にすばらしい!
現段階ではまだキャラクターのサプライズとその痛快な活躍っぷりでグイグイ見せている感もあるが、敵のベガ星団がこのままサンドバッグ状態で終わるワケは当然ないだろう。
この先どれほどの激闘が待っているのか、じつに楽しみである。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。