話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『ひとり暮らしの小学生 江の島の夏』
『ひとり暮らしの小学生 江の島の夏』著者の松下幸市朗先生から、コメントをいただきました!
『このマンガがすごい!comics ひとり暮らしの小学生 江の島の夏』
松下幸市朗 宝島社 ¥700+税
(2016年5月25日発売)
AmazonのKindleにて4コママンガ部門の1位を独走、話題になった『ひとり暮らしの小学生』がいよいよ書籍版として発売された。全コマ加筆修正を行い、読みごたえ充分だ。フルカラーの優しい色あいで描かれる小さな島の風景や、昔ながらの食堂の内装は懐かしく、電子版以上のあたたかみを感じる。
それは、ある小学校の先生の思い出話として語られる。
まだブラウン管テレビ全盛のさなか、白黒テレビもギリギリ存在する1980年代頃に、藤沢市湘南の観光地である江の島で暮らす、小学校4年生の女の子・鈴音リン。
天然気味だが、がんばり屋の彼女は両親の他界後、ひとりで裏道にある鈴音食堂を営んでいる。
ただし、料理の味は残念なものだ。
マンガの合間に差し挟まれる、ノートに書かれたリンの経済状況は苦しそうである。しかし、そこに書き留められたメモは前向きで思わずほっこりしてしまう。
涙ぐましい節約テクニックだけでなく、彼女なりに店を流行らせるアイディアも考えるが、まだまだ小学生なので少々ズレている。でも、うっかり(?)入って来る観光客や、常連さんに支えられどうにか生活できている、らしい。