16年ぶりの新作は、「クロウカード編」と「さくらカード編」のあとの話で、正当なる続編。
さくらたちは小学生から中学1年生となり、あれから数年が経過している。劇場アニメ版の2作目も小学6年生の話だったので、時系列の矛盾もなくて安心だ。
朝、中学校の制服に着替えたさくらは、小狼と再会する。会うなり見つめあう2人をハンディカメラで「おかまいなく」と録画し続けるさくらの親友・大道寺知世……ああ、この世界はずっと「続いて」いたんだなあ! 冒頭からそんな実感がこみ上げる。
単行本の頭に軽く「前回までのあらすじ」的なまとめはあるが、本編は豪速球で熱心なファン向けで、入り組んだ人間関係も当時そのまんま。初心者のためのくわしい前説なしの「いきなり続編」が潔くて心地いい。
「クロウカード編」で集めたカードを「さくらカード」に変換したように、新作では「さくらカード」が透明な「クリアカード」になる異変からスタート。
力を失ったカードに新たな力を与え、カードを駆使してさらに力あるカードに立ち向かう。その背後には謎の影が……という展開も、シリーズではおなじみ。
Netflixやdアニメストアなどで旧テレビシリーズもネット配信中なので、マンガとあわせて見ておきたいところだ。
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)、『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』、『超ファミコン』(ともに太田出版)など。