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5月1日は「扇の日」 『あさきゆめみし』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/05/01


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

5月1日は扇の日。本日読むべきマンガは……。


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『講談社漫画文庫 あさきゆめみし』第1巻
大和和紀 講談社 ¥660+税


5月1日は扇の日。1990年に京都扇子団扇商工協同組合が制定したという。その理由とは?

まず、5月1日は51で「恋(こい)」と読めることがミソである。恋といえば世界に名だたる紫式部の文学作品『源氏物語』。『源氏物語』では女性が想いをこめて「扇」を贈っている、とさながら連想ゲームのような発想で「扇の日」となったそうだ。

では、『源氏物語』のマンガといえばやっぱり『あさきゆめみし』!との連想で、女性が光源氏に扇を贈る場面を紐解いてみよう。

特に有名なのは「夕顔」の巻である。主人公・光源氏が軒先に生えている夕顔の花を気にかけていると、家から少女が出てきて、夕顔を扇にのせて渡す。その扇はよい香りがして、家の主・夕顔の手により風流な歌が書いてある、という流れだ。
夕顔はひかえめでおっとりした性格とされているが、光源氏に歌を詠みかける、つまり女性からアプローチをするとは、なかなか大胆だ。元カレでその娘・玉鬘(たまかずら)も生んでいる、頭中将(光源氏とはライバルである)と見間違えたのでは、という説も近年では有力となっている。

不慮の事件のため、夕顔と光源氏とはほんの一瞬の恋愛だったが、その後も彼の人生に大きな影響を与えている。

もうひとつ、扇といえば朧月夜の君との出会いも印象深い。身分も明かさず愛しあったのち、記念に扇を取りかえるが、女性が渡した扇が上等なものだったことから、高貴な身分と知る。さらには、光源氏にとって異母兄である帝(天皇)と結婚予定の女性であり、政治生命を揺るがす禁断の恋であった……。「私の正体を知っても、愛してくれる?」と問う小道具の役割を、扇が果たしている。
“ファム・ファタール”のような立ち位置にいる朧月夜の君だが、あまりに色好みがすぎる光源氏へのこの振る舞いは、女性として、少し胸がすく気もしてしまう。

当時、女性が顔をさらすのは裸を見せるほど恥ずかしいことで、扇は顔を隠すための大切な道具であったともいわれる。それを女性側から渡されるとは、「あなたなら顔を見てもいいのよ」と暗に示す、色っぽい行動といえそうだ。

著者・大和和紀の渾身の筆で、原作に負けず劣らず恋愛や人生の深みを感じさせてくれる名作マンガ『あさきゆめみし』を、扇に着目して読むのも趣き深いのでは?



<文・和智永妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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