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『新装版 げんしけん』 第1巻 木尾士目 【日刊マンガガイド】

2017/06/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『新装版 げんしけん』

  
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『新装版 げんしけん』 第1巻
木尾士目 講談社 ¥1,300+税
(2017年5月23日発売)


2016年に完結した『げんしけん 二代目』
その前作にあたる『げんしけん』を全5冊に納める新装版が登場した。
第1巻の刊行は2002年と、15年も前の作品だったと驚く。

2017年になってアニメやゲームといったオタク趣味はだいぶ一般的なものになった。
大人になってもアニメを観ることは、かつての“教室で知られたら即死もありえる奇妙な趣味”から“ごく普通のこと”になった。
『げんしけん』は、そのちょうど中間の空気を絶妙に切り取った作品だと思う。

主人公の笹原は、同人誌やエロゲーに興味津々の“オタク”だけど、なんらかの作品への過剰なほどの愛や知識があるわけでもないし、自分で何かをつくったりするわけでもない、消費者側。
そんなわりと“カジュアルなオタク”であり、けれども、自分からオタク趣味を公言するにはやや気恥ずかしさを感じている……そんな造形は、いかにも2000年前後のオタクの典型に見える。
新装版第1巻では、そんな2000年代の“普通”のオタクライフが描かれる。

オタク趣味が静かにその裾野を広げていたけれど、やっぱりまだかぎられた(そしていささか恥ずかしい)趣味でもあった時代。
成人向けパソコンゲームが全盛で、オタクをやるにはなにはともあれパソコンが必要だった時代。
テレビやモニタはまだブラウン管のディスプレイで、とりあえずオタクが集まったら対戦プレイが始まっていた時代。

そんな時代の空気感を体現した作品として、これからも読み継がれていってほしい。



<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas

単行本情報

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