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『S エス -最後の警官-』第15巻 小森陽一(作) 藤堂裕(画) 【日刊マンガガイド】

2014/10/13


SAIGOnoKEIKAN_s15

『S エス-最後の警官-』第15巻
小森陽一(作) 藤堂裕(画) 小学館 \552+税
(2014年9月30日発売)


ジャンボジェット機が、引退記念のラストフライト中にハイジャックされた。
武器は3Dプリンター製銃で、主犯格の男は残虐極まりない凶悪犯。複数の殺人事件に関与しているとされながら、司法の手を逃れてきた「現代の怪物」といわれる男だ。
たまたま同乗していた初代SAT隊長の手引きでSAT(警視庁警備部警備第一課特殊部隊)が突入するが、そこで警察側も犯人側も想定していなかった異例の事態が発生する! 犯人のなかに長年追い続ける姉の仇がいることを知ったSAT隊員・蘇我伊織は、その仇・壬生に向けて銃を構える。

一方、いかなる手段をもっても制圧することを目的としたSATとは異なり、あくまで犯人の逮捕を信条とするNPS(警察庁特殊急襲捜査班)の神御蔵一號(かみくらいちご)は、乗客や犯人はもちろん、かつての同僚で復讐にとらわれている伊織すらも修羅から助け出そうとするが……。

架空の組織・NPSを舞台とした警察アクションもので、ドラマ化に加えて、映画公開も控える『S-最後の警官-』。本作の大きな読みどころ・読ませどころは、通常の装備と出動では対処できない凶悪事件であっても、あくまで犯人を生かしたまま捕らえることを目的とするNPSのあり方だ。
そもそも警察上層部(ひいては国)は、NPSも対処できない事案があることで、SATの権限をさらに強めようとしている。つまり、人命重視をモットーとするNPSは“噛ませ犬”なのだ。
そんなNPSで、すべての命のために立ち上がる熱き主人公・神御蔵一號。対して、一時はNPSに所属しながらも凶悪犯は死をもって裁かれるべきだと考えるクールな男・蘇我伊織。

蘇我がついに姉の仇と相対したことで、最新15巻は静かだけれど高温の、青い炎のような盛り上がりを見せている。蘇我の葛藤。一號たちをはじめ、事件を見守る者たちの思い……。
組織論と刑罰論に加えて、男たちの相克と連帯が燃え上がる。シリーズのなかでも息詰まる一冊だ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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