『PとJK』第5巻
三次マキ 講談社 \429+税
(2014年8月12日発売)
「JK」はもちろん女子高生のイマドキの言い方で、「P」はポリス(POLICE)のP。
さまざまなカップリングが少女マンガにも増えてきている中で、三次マキ『PとJK』は、そのタイトルどおり女子高生と警察官の恋物語。
主人公の女子高生・本谷(もとや)カコと、警察官の佐賀野功太の出会いの場は合コンで、大人目線で見ると、「倫理的に問題あるのでは!?」と思ってしまう。けれど、その倫理にあえて踏みこんで触れていることで、逆にさわやかでピュアな、古式ゆかしい少女マンガらしい少女マンガになっている。
友人の姉が企画した合コンで女の子が足りず、年齢を偽って無理やり参加させられたカコ。そこで出会ったのが、人を見る目になぜか威圧感のある功太。当初は功太が警察官だとは知らず、またその目つきにおびえていたカコだったが、自分を守ってくれるような彼の優しさと、2人っきりになったときに見せる表情に心を奪われてしまう。しかし、カコが女子高生だとすぐにバレることに……!
しかし2人は惹かれ合い、功太が出した答えは「一緒にいられる方法がひとつだけある 結婚しよう」。
結婚となれば、倫理違反でも条例違反でもない。こうして2人は結婚を前提に、正式に交際することになる。それでも女子高生と警察官の交際には、予期せぬことが巻き起こる!
最新刊5巻で描かれるのは、初めて2人で過ごす夏休み。
カコは功太と一緒に、彼の実家へと向かうのだが、そこで功太はずっと気に留めていた、高校時代の「友人」と再会することになる。そして、かつては荒れていて、補導ばかりされていたという功太の過去も明らかに。
今回の過去編で、改めて秀逸だなぁと思わされるのが、功太のキャラクター! 一見、コワモテでSっぽさもありながら、根は不器用なくらいまじめで優しくて、かわいらしいところもある。少女マンガの理想の男子像が集約されたようなキャラクターで、それでいて人間味も感じさせる人物。
警察官という職業も含め、これは女子高生でなくても、またその年代の読者でなくても、うーん、読めば恋してしまうこと間違いなし!!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2014 Summer』が6月5日に発売に。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。