『i・ショウジョ+』第1巻
高山としのり 集英社 \400円+税
(2015年2月4日発売)
とある検索エンジンに特定のワードを入れた者だけが入手できる「魔法のアプリ」。スマホに入れて起動させれば不思議な現象が起きて、願いを叶えてくれるという。
この力をどう活かせば? と考える最中、少年は身近にいる女子の悩みや夢を知り、その子のために魔法を使う決心をする。そして問題を克服した2人はいい関係に。
魔法のアプリの正体、それは「愛のアプリ」だったのだ……。
というストーリー展開を基本形に、登場人物やアプリで引き起こされる現象を毎回変えるオムニバス作品である。
物体をくっつける力で、超無愛想な美少女と身体が密着する「マグネット」編。
ミスコンに無理やり出場させられた冴えない女子の色艶を引き出す、魔法の化粧「メイク」編。
幼なじみの女の子の3年後の姿がカメラに写るが、ささいな行動の変化でセクシー女優になる未来やらプロレスラーになる未来やら、可能性がブレまくる「クイーンメーカー」編。
第1巻は以上3編を収録し、お色気ハプニング満載のファンタジー青春劇をつづっている。
もともと本作は「週刊少年ジャンプ」本誌連載の『i・ショウジョ』がWEBサイト「少年ジャンプ+」へ移籍した続編にあたるのだが、先述のとおりオムニバスなので、本作から読んでもさしつかえない。
または、WEB版になってから、俗にいう“乳首券を発行”したり、エッチな体勢でもつれあうシーンを過激化させているので、順番どおり本誌版から読んで、サービス精神の右肩上がりっぷりを確認していくのも楽しいだろう。そこはご自由に。
なお、唯一全編を通して登場するキャラクターとして、アプリの説明書を名乗る電子少女「アイビス」がいる。
謎めいた言動で登場人物や読者をナビゲートする姿は、ジャンプマンガでいえば『アウターゾーン』のミザリィを連想させる存在だ。
ただし本作の場合は、苦いオチや悲劇で後味を残す方向にはいかず、あくまでラブコメ・エロコメの楽しさを堅守しているのがウリといえる。
<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。プリキュアはSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7