『探偵アプリ』
杉本ゆう 徳間書店 \580+税
2001年1月26日、NTTドコモから世界で初めてアプリがダウンロードできる携帯電話(F503i&P503i)が発売された。
これを記念して本日は「携帯アプリの日」に制定されている。
スマホを持つのが当たり前となった今でこそ、アプリのダウンロードなんて日常的なことだが、ストレート型のガラケーが主流だった当時では画期的だった。
サーバを介して圧縮通信……なんて時代ではなかったため、パケット代を気にしながらおっかなびっくりダウンロードしていたものだ。
あれから14年。もはや携帯アプリと現代人の生活は切り離せないところまで来ている。
「コミックゼノン」第6回マンガオーディション出身の新人・杉本ゆうのペンによる『探偵アプリ』は、そんなスマホ&アプリ全盛期ならではの作品といえよう。
クールな凄腕探偵・田淵に助けられて以来、彼につきまとうようになった女子高生・アゲハ。なにかと助けを求めてくる彼女に手を焼いていた田淵だったが、謎の「探偵アプリ」によってスマホのなかに閉じ込められてしまう。
もとの姿に戻るためには、誰かの依頼を受けて事件を解決しなければならず……。
理不尽な目に遭っても取り乱すことなく、スマホの画面からアゲハに的確な指示を出して事件を解決に導く田淵のキャラクターが秀逸。
スマホの内部にいるので他のアプリを使って情報をつかんだり、ハッキングしたりというアイデアも斬新だ。
全1巻(6話完結)のため、探偵アプリの正体に言及するまでは至らず残念。
新時代の探偵モノとしておもしろくなる要素が満載だけに、ぜひとも続編を期待したい。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」