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『小林が可愛すぎてツライっ!!』第8巻 池山田剛 【日刊マンガガイド】

2014/11/15


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『小林が可愛すぎてツライっ!!』第8巻
池山田剛 小学館 \429+税
(2014年10月24日発売)


『好きです鈴木くん!!』などで、小・中学女子から高い人気を誇る池山田剛による、200万部突破の大ヒット少女マンガ。

小林さんちには、かわいい男女の双子がすくすく育っていた。
ゲーム大好き・戦国武将大好きのオタク女子、愛(めぐむ)ちゃん。女子からモテモテのスポーツ万能少年、十(みつる)くん。

物語は、テストの成績があぶない兄が、顔のそっくりな妹へ期間限定の入れ替わりを頼むところから始まる。
愛はしかたなく男の格好で兄の高校へ通うが、そこで謎めいた眼帯少年と遭遇し、恋に落ちる。そして同じころ、妹の高校へ向かった十も、耳の不自由な少女と運命の出会いを……。

異性の制服を着て性別を偽り転入した先でラブコメ発生、といえば昔から例のある仕立てだ。だが本作はダブル主人公で構成され、「男装少女が男の子と恋する展開」「女装少年が女の子と恋する展開」がほとんど同じ重心をかけて同時進行するのが特徴。
どちらもそれだけで独立した作品にできそうな密度の高い筋で、それがいっぺんに2つ楽しめる。「一粒で二度おいしい」とは、まさにこのマンガのことだろう。

しかも、2つの筋はただの平行線ではない。
まず、双子が恋する相手同士にも深い関係があって、有機的にからみあうのがうまい。
さらに十パートでは、当初の恋愛対象とは別に、ひどい意地悪キャラ役の女子を配置しておいてだんだんと位置づけを変化させるなど、兄妹が置かれる状況は非対称に描いてある。単純な反復構造ではないおかげで、新鮮味がとぎれないのだ。

そうして鮮やかに転がっていく物語は、性別バレ展開も挟んで第5巻でいったん大きな区切りを迎えた。
現在は事実上の第二章。成就した恋、あるいは新しい恋をどう発展させ、守っていくかというステージに移っている。

一粒で二度おいしく、かつ丸ごと一粒としてもやっぱりおいしいこの作品。作者が好きなものをいろいろ詰め込んだというだけあって、本当ににぎやかな勢いに満ち満ちている。
ラブコメマンガを読むのってこんなに楽しかったんだなあ、と初心に帰れる逸品だ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。プリキュアはSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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