『きぐるみ防衛隊』第2巻
星野リリィ 講談社 \590+税
(2014年10月7日発売)
今の「なかよし」は、“攻める雑誌”になっていると思う。
西炯子や星野リリィのような、本来「児童向け少女マンガ雑誌」のジャンルにいなかった作家を投入して、傑作を生み出し続けているのだから。
『きぐるみ防衛隊』のフォーマットは、少女と年上男子の出会い、敵との対峙、生まれる信頼関係……と少女マンガの王道路線をうまく掴んでいる。ただ、ところどころに差し込まれる「星野リリィ節」が、ずっしり効いてくる。
元気な中学生ヒロイン・はっかが出会ったのは、大きなきぐるみ。明らかに不自然。でもちょっとかわいい。
じつはこのきぐるみ、キスをすると人間の姿になり、心を抜かれた敵(ここが星野リリィ節全開)と戦うことができる。その際、どうしても人間の協力がないと、戦闘を終えることができない。
3組のバディを組んだ中学生たち(かわいさのベクトルがじつに星野リリィ節)による、防衛戦争がはじまる。
はっかがもともと好きだったのは、耽美な雰囲気(ここも星野リリィ節)を醸し出す怪しい生徒会長。
しかし、ちょっと口の悪いきぐるみのジンジャーと、キスによる変身をしながらともに戦っているうちに、お互いを少しずつ異性として意識しはじめてしまう。
たしかに最初からイケメンがくるより、きぐるみが来て心許したところでイケメン解除、そしてキス。不意打ちすぎだろ、そんなんときめくわ。
冒険のハラハラと恋愛のキュンキュン、華やかでワクワクする演出盛りだくさんの作品だ。
ちなみに少年・五月と、ともに戦うフェンネルの組み合わせだけは男・男のキス。ここがもっとも星野リリィならでは。目覚めちゃいますね。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」