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『パラダイスレジデンス』第1巻 藤島康介 【日刊マンガガイド】

2015/03/11


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『パラダイスレジデンス』第1巻
藤島康介 講談社 \600+税
(2015年2月23日発売)


1988年から連載開始し、26年間という超長寿連載を経て2014年に完結した藤島康介『ああっ女神さまっ』
最終回は、ファンの枠を超えて大きな話題になったため、覚えている方も多いだろう。

漫画家・藤島康介の名前は、現在のラブコメに大きな影響を与えた『女神さまっ』だけでなく、『逮捕しちゃうぞ』など、オーバー30のマンガ好きおっさんにとって“青春のあの頃”を象徴する特別な響きを持っている。
かくいう筆者も、藤島康介キャラと『3×3 EYES』の高田裕三キャラの模写を授業中にしていたっけ。

その藤島康介の待望の新作がこの『パラダイスレジデンス』。女子校の寮に入学とともに飛び込んだ三沢寿々花と、そこで出会ったルームメイト小鳥遊初音を軸に紡がれる日常を描いた作品だ。
内容も、寝ぼけた小鳥遊をプリンで釣って起こしたり、ペットボトルを工夫して流しそうめんを作るなど、ゆったりしたもの。
えっ、藤島康介が「日常系」マンガに挑戦?

『ああっ女神さまっ』では落ちモノヒロインに複数ヒロイン形式、『逮捕しちゃうぞ』ではマニアックなメカ描写と細かなお約束ギャグを連発してノリをだすコメディ表現と、美少女もののマンガフォーマットを開拓してきた藤島康介。その彼が、自身の作品のフォロワーとも言える今風の日常系に果敢に挑んだ本作。
これまでのバイクで疾走したりトリッキーな構図を使ったりとめまぐるしく展開を変えてきた作風から、学校を中心とした風景のみのコマや、同ポジションのまま目線だけ移動するコマなどの多用へのシフトチェンジも目を引く。
もちろん特徴的な描線や引き笑いの表情など、これまでと変わらないテイストもあり、一口に最新の日常系マンガともテイストの異なる、なんとも言えない後味の残る作品になっている。

藤島康介が切り開いた美少女ものマンガの文脈で花開いた「日常系」に対して、否定せずに真っ向から取り組む姿勢は、不思議な感銘を受けるに十分。
藤島康介作品に育てられた自覚があるマンガ好きには“読む義務”があると思う。

また、講談社ラノベ文庫からは本作の別ストーリーが展開される同名のライトノベル『パラダイスレジデンス』も発売されており、藤島康介が原作・挿絵をつとめている。こちらも必見だ。



<文・久保内信行>
編集・ライター。アニメを主食にアイドル・サブカルチャーから経済、そして料理評論家まで心の胃袋に貯まるコンテンツを愛好しています。現在「mitok」にてWeb連載中

単行本情報

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