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『ナンバーガール』第2巻 谷川ニコ 【日刊マンガガイド】

2015/03/14


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『ナンバーガール』第2巻
谷川ニコ KADOKAWA \569+税
(2015年2月26日発売)


アニメ化もされた『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 』の谷川ニコがおくる4コママンガ、『ナンバーガール』の第2巻が発売された。

本作は、16人のクローン少女がそれぞれ個性を獲得するために学校に通う姿を描いた作品で、寸分違わぬ外見のクローン少女たちは、目に個体番号が表示されている。
第1巻では、淡々とした展開のなか、基本的に同じ行動をとるクローン少女たちが、個体ごとに微妙に個性を発揮したりしなかったりという不思議なゆらぎを描いていて、第2巻でも基本ラインは変わらない。ゆったりと読んでいるあいだに、ワイルド気味な2号や、不運気味な16号など、お気に入りの個体も見つかるはず。

2巻では比較的季節ネタが多く散りばめられ、「栗を焼いて死亡フラグを立てるクローン少女」などの愛らしい描写もあるが、移ろいゆく季節と、個性をうっすらと獲得していくようなクローン少女たちの、比較として見ても興味深い。

彼女たちの住む寮は直方体に丸い窓穴が開いた部屋を連結したようないびつなキューブ状の建物だ。筆者はこの建物を見た時に原宿の「ビラ・ビアンカ」シリーズのモダン建築を思い浮かべた。
ビラ・ビアンカ(白い館の意味)は、人の住む居住空間をひとつのキューブととらえ、全体のシルエットからではなく無個性なキューブから発想したがゆえの無機質さと規則性が特徴。その無個性な部屋の群体ともいえる外観は、東京オリンピック開催時に完成した東京モダン建築の傑作だ。
モダニズム建築は、「禁欲的な四角い箱」とも評され、無駄や装飾を削ぎ落すことで普遍的な機能のみを残す近代的な建築手法だが、『ナンバーガール』の白い画面と白いクローン少女たちも、同じような“モダン”の雰囲気を色濃く感じる。昨今の日常系4コマなどのヒロインの類型化や、マンガ的記号の反復をモダンに表現した結果にも見えるのだ。

この『ナンバーガール』をおもしろく感じたなら、「なぜこのマンガがおもしろいのか」を考えることそれ自体に、今のマンガやマンガ表現についてどうとらえるかに直結しそうな、不思議な批評性が存在する。

余談だが、引き合いに出したビラ・ビアンカは、東京オリンピック開催同年の1964年に近代の申し子として誕生。築51年を迎えた現在も、その威容を周囲にしめしたランドマークになりながら、年月を経た外観からは、街になじみながらも人を圧倒する個性にあふれている。
「個性という修飾を排除」した果てに生まれた独特の個性と、長くつきあうことでわかる愛着による個性。一種相反する2つの個性は、この『ナンバーガール』からも漂っていると思えた。



<文・久保内信行>
編集・ライター。アニメを主食にアイドル・サブカルチャーから経済、そして料理評論家まで心の胃袋に貯まるコンテンツを愛好しています。現在「mitok」にてWeb連載中

単行本情報

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