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『ツール・ド・本屋さん』第3巻 横山裕二 【日刊マンガガイド】

2015/10/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ツール・ド・本屋さん』


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『ツール・ド・本屋さん』第3巻
横山裕二 小学館 ¥800+税
(2015年9月11日発売)


漫画家である著者自身が、全国の書店さんを自転車でめぐり、宣伝用POPを描かせてもらう旅に挑戦するシリーズ第3弾。前巻2巻から引き続いての北海道となる第3巻では、広大な北の大地を自転車をカブに乗り換えて、書店を詣でめぐる。

パンク&レッカーに見舞われたり、教えてもらった店がことごとく閉まってたり、はてはバイクで転んで手首を骨折したり……!
数々のアクシデントに見舞われながらも、たどり着いた本屋さんでフェアを組んでもらったり、食事をおごってもらったり。道中でも著者のツイッターを見た読者に声をかけられたり。あたたかな人々との出会いと交流に、ネットは便利だけど、やっぱりリアル書店&旅って素敵だな~とホッコリ。
これはつまり、「漫画家版・どうでしょう」なのだ。(そう、決して版元の地方営業代理ではない……はず……)

本屋さん0軒となった留萌市(るもいし)に三省堂の支援により復活した「留萌ブックセンター」のエピソードなど、書店好きにはたまらないし、あくまで小ネタではなるがケンミンショー的ネタも楽しめる。
登場する書店員さんや編集者さんもそれぞれキャラ濃ゆく描かれ、旅のキッカケとなった大泉洋さん、そして、あだち充さん、島本和彦さんなど、著名漫画家も随所に登場。
作品からはうかがえない、彼らの素顔のやりとりがのぞき見られるのもファンには楽しい。

いじられ舎弟キャラの著者ならではの卑屈目線も、キュートな悲哀と滑稽に転じていて、ま、タレントにもいろんなキャラや仕事があるんだし、漫画家にもこうゆうのがあってもいいよね……と思わされたりもするシリーズだ。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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