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『虚構推理』第2巻 城平京(作) 片瀬茶柴(画) 【日刊マンガガイド】

2015/12/18


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『虚構推理』


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『虚構推理』第2巻
城平京(作) 片瀬茶柴(画) 講談社 ¥429+税
(2015年11月17日発売)


『虚構推理』は、2011年に発表された城平京の同題のミステリ小説(第12回本格ミステリ大賞受賞作でもある)のコミカライズである。

小説がマンガ化される理由で一番多いのは「映像化」だ。
しかし、『虚構推理』はアニメ化されるわけでも、ドラマが放送されるわけでも、劇場版が制作されるわけでもない(どれがあってもよいと思うのだが)。

そうしたメディア戦略とは無縁に『虚構推理』がマンガ化された理由はただひとつ――物語として圧倒的におもしろいからだ。だからこそ第1巻は発売後「大重版!!!!」となり、「12月の『このマンガがすごい!』ランキング オトコ編」でも『虚構推理』第1巻は第2位を獲得するなど、読者の支持を集めているのである。

怪異のものたちの神となった少女・岩永琴子と、不死身の肉体を持つ・桜川九郎とが真倉坂市を騒がせる都市伝説の産物 “鋼人七瀬”と戦う――というのが『虚構推理』の基本的なストーリーである。

このように紹介すると、ありがちなバディもののバトルマンガのように思えるが、『虚構推理』はなかなか一筋縄ではいかない。
まず、琴子と九郎の関係性がじつに微妙なのである。琴子は九郎にひとめぼれしたのだが、九郎は琴子を結構邪険に扱っている(だが、それは心底気を許しているとも取れる)。そこに九郎の元カノの弓原紗季も加わって……という一風変わった三角関係に気を引かれてゆく。

また、琴子たちが戦う相手もじつに奇抜だ。“鋼人七瀬”とは、深夜ドラマ『青春!火吹き娘!』でブレイクしながら、鉄骨の下敷きになるという非業の最期をとげたアイドル七瀬かりんの亡霊である。
そして“鋼人七瀬”は、巨大な鉄骨(!)を手に夜の街を徘徊するのである。

「信じていたルールがぐにゃりとたわむ」――とは作中での弓原紗季の述懐だが、それは『虚構推理』を読んだ者の思いを代弁するものだろう。
本作は、読者の期待を(よい意味で)裏切ってくれる。
世界が「ぐにゃりとたわむ」感覚を楽しんでほしい。

ちなみに、原作小説のカバーイラストを描いたのは、綾辻行人『Another』のコミカライズ等を手がけた清原紘である。
清原が描くフランス人形を思わせる琴子もよいが、マンガのなかで動き、喋るキャラクターとしては片瀬茶柴が描く(清原版よりも)幼い感じのする琴子も魅力的である。
片瀬は『虚構推理』がデビュー作となるのだが、新人らしからぬ手腕で(城平京の監修も受けずに)原作を料理しているのである。

マンガの第2巻までで、ちょうど小説では第3章(全体の3分の1)が終わったところである。
いよいよ次巻では“鋼人七瀬”の「正体」が明らかになる。現代ならではの怪異のものといえる“鋼人七瀬”と琴子・九郎の戦いはいかに!? 
来年4月発売予定の第3巻が待ち遠しいところだ(原作小説があるので、それを読んで“予習”しておくのも楽しいと思う)。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「名探偵コナンMOOK 探偵女子」(小学館)にコラムを執筆。現在発売中の「ミステリマガジン」2016年1月号(早川書房)にミステリコミックレビューが掲載。同じく現在発売中の「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)にてミステリコミックの年間総括記事等を担当。

単行本情報

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