365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月19日は「早稲田大学」として初の開校式を行なった日。本日読むべきマンガは……。
『東京エイティーズ』第1巻
安童夕馬(作) 大石知征(画) 小学館 ¥505+税
1882(明治15)年に創設された「東京専門学校」は、1902(明治35)年9月に「早稲田大学」と改名する。
そして今日10月19日は、早稲田大学として初の開校式が行われた日である。
早稲田大学といえば、今もランキング上位の私立大学として名高い。
だが80年代にさかのぼるとその人気たるや圧倒的で、就職率も高く、まさに「私大の雄」と言うべき存在だった。
そんな早稲田全盛期のキャンパスライフを描いた作品が、この『東京エイティーズ』だ。
1982年3月、早稲田大学商学部の入試会場。
あと少しで試験終了という時に、主人公・真壁純平は、隣席の女子生徒がカンニングをしていることに気づく。
どう見ても田舎から出てきたばかりに見えたその女子生徒だが、彼女は純平を無理矢理ホテルに誘って、口止めがわりに関係を持つ。
そして4月、無事商学部に入学した純平が同じクラスで見たのは、とんでもなくいい女に変貌したその彼女、森下愛だった――。
純平と愛を中心に、裕司、力也、聖子の5人組が繰り広げるキャンパスライフは、特に当時の大学生活経験のあるアラフィフには懐かしくて涙が出るだろう。
当時の大学生にはおなじみの雀荘やディスコ、それに当時のトレンディドラマを彷彿させる服装に音楽、エトセトラ。
本棚にあるのも、村上春樹の『風の歌を聴け』や村上龍の『限りなく透明に近いブルー』、それに『めぞん一刻』や『タッチ』。
だいたいこのあたりで時代性がわかってもらえるのではなかろうか。
あの頃、大学生といえば軽薄で遊んでばかりで、というイメージだった。もちろんこの作品にも、その印象はついて回る。
しかし当時の大学生が持つ浮ついた熱っぽさや、ある種の青臭さのようなものは、なぜかとても魅力的だ。
きっとそれが青春というもののひとつの形だからであろうし、それをみごとに表現しているからこそ、このマンガのページをついついめくり続けてしまうのだ。
少しの間、80年代の早稲田大学にタイムスリップするのも悪くないのではないか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」