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2月20日は天正遣欧少年使節が長崎港を出発した日 『子どもと十字架 天正遣欧少年使節』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/02/20


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

2月20日は天正遣欧少年使節が長崎港を出発した日。本日読むべきマンガは……。


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『子どもと十字架 天正遣欧少年使節』上巻
吉川景都 KADOKAWA ¥620+税


1582年2月20日――旧暦では天正10年1月28日、戦国時代の末期。
今から434年前のこの日、天正遣欧少年使節が長崎港を出発し、ローマに向けて長い長い船の旅を始めたのだ。

天正遣欧少年使節とは、イエズス会の発案による、日本初の公式ヨーロッパ訪問団だ。
九州のキリシタン大名の名代として選ばれたのは、4人の少年たち。
伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノ。
洗礼名を名乗る彼らは、いずれも長崎の有馬セミナリヨの1期生。当時全員が13~14歳であったと言われている。

目的地はローマであったが、マカオやゴアを経由して、初めて踏んだヨーロッパの地はポルトガルの首都・リスボンだった。
出発してから、その時点ですでに2年半。これだけでも旅の過酷さが忍ばれる。
そして今日ご紹介する『子どもと十字架』は、そんな彼ら4人の数奇な運命を描き出した感動作なのである。

主役となるのは甚吾、後の中浦ジュリアン。
父が戦で亡くなって以来、心を病んでしまった彼の母が信仰していたのがキリスト教だった。
甚吾はその教えに救いを求め、イエズス会の神父・ヴァリニャーノの作った学校、セミナリヨに入学することになる。
そこで伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルチノたちと出逢い、彼らはぶつかり合いながらも、仲間としての結束を深めていく。
やがて彼らは、ローマへの派遣団に選ばれることになる。厳しい長い旅の果てに、彼らが見たものとは……?

甚吾だけでなく、4人の少年はそれぞれに心に傷を持ち、悩みも夢も持っている。
そんな彼らが集うことによって互いに触発され、癒しあい、成長を遂げていく。
誠実な絵柄による少年たちの描写はとても魅力的であり、まだ年端もいかない彼らの旅の無事を思わず祈ってしまいたくなるほど、皆けなげで愛おしい。

また少年たちの純粋さの一方で、大人の世界ではいろいろな思惑が渦巻いているのがほのめかされるのも、非常に興味がそそられるところ。

連載雑誌が休刊してしまった関係上、現在コミックスは上巻のみなのが非常に残念ではある。
が、上巻だけでも、しみじみとした感銘を与える名作だ。
今日を記念して、ぜひご一読のほど。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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