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『地獄のデザイナーさん』第1巻 きりつき 【日刊マンガガイド】

2016/04/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『地獄のデザイナーさん』


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『地獄のデザイナーさん』第1巻
きりつき 実業之日本社 ¥680+税
(2016年3月18日発売)


これは、なぜか1日が33時まであるデザイン事務所「コバルト」を舞台にした、ギャグいっぱい・笑いいっぱいのお仕事ストーリーだ。

コバルトで繰り広げられる毎夜のてんやわんやは、修羅場と書いて「おまつり」と読むハイテンションの極限状態。
そして“祭り”も佳境になると、洗面所で眠りこけるわ、床の上の寝袋が増えたりするわで、今日も事務所は死屍累々だったりするのだ。

そんななかでも、鳥ちゃんこと、新人の鳥井琴子(とりい・ことこ)はちっちゃい身体で鋭意奮闘中。
彼女は編集担当であり、かつキャノさん係。
キャノさんとは、凄腕&イケメンデザイナーの鹿野優希(かの・ゆうき)のこと。
ドSで気まぐれなキャノさんに、さっさと仕事をさせるのもゲームに興じさせるのも、じつは鳥ちゃん次第だったり……?

帯にも大々的に「キャノ鳥コンビ」の文字があるように、このマンガは、鳥ちゃんとキャノさんの関係性が絶妙。
このキャノさん、とにかく仕事ができて見た目もパーフェクトという、すでにこの属性だけで売りはじゅうぶんなのだが、とにかく押したり引いたりの駆け引きがうまい。
基本はドS、しかし鳥ちゃんをハグしてみたりとなりで眠ってみたりと、ところどころ見せつけるベタ甘感がたまらないのだ。

そして、ときにはドSの本領発揮とばかりに、鳥ちゃんを押し倒してとことん迫ることも。
そんなキャノさん相手に、小動物っぽい鳥ちゃんが泣きついてわたわたしてるのも、女子にはかなり高い萌えポイント。

また一方で、舞台となっているデザイン事務所のリアリティがすごい。
特にコバルトは広告や雑誌など時間勝負の仕事が多いため、クライアントによる突然の変更や気まぐれがストレートに影響し、すべてのしわ寄せが来てしまうことになる。
どんなに理不尽だろうとなんだろうと、時間には間に合わせなくてはいけない。
これは経験者なら肌身に沁みてわかっていることで、実は筆者も広告関係に携わっていたことがあり、正直フィクションだと思えない部分も多々ある。

そんなリアリティをベースにしたコメディなので、笑いの訴求力も実に高く、単なる萌えマンガに終わらないおもしろさがある。

きっと今夜も、鳥ちゃんはキャノさんと一緒に仕事をがんばってしまうのだろう。
そして甘々かつときめきの社畜ライフを送っていることだろう。

やっぱりこの2人の関係の行方、気になります。今後に超期待!



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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