日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『まんがの装丁屋さん』
『まんがの装丁屋さん』第1巻
小石川ふに 芳文社 ¥619+税
(2015年10月7日発売)
マンガ好きなら興味をそそられずにいられない!「まんがの装丁」をテーマにした、お仕事マンガ。
数々の人気マンガの装丁を手がける、冬坂律率いる「冬坂デザイン」を舞台に、その仕事ぶりを入社ホヤホヤの男性アシスタントデザイナーの視点を通して描く。
著者は漫画家でありながら、自身もブックデザイナーとして他作家のマンガ装丁を手がけている、小石川ふに。
4コマ連作形式ということもあり、小ネタ中心でサクッと読める。
『重版出来!』のようなダイナミックな人間ドラマや熱~い仕事論的なところよりも、「女性ばかりのデザイン事務所に入社した新人クンの目線」からのハーレム萌えネタも多い。
が、編集者や作家とのやりとり、連載タイトルのロゴ出し等の具体的な作業内容、マンガ装丁の役割とは? といったうんちくまで、知られざるマンガ装丁のあれこれが描かれているので、そもそも装丁って何? という初心者には、格好のガイドとなりそう。
作中に登場する作品について(著者自身の手がけた仕事から察するに)これって、あの漫画家のあの作品……? と想像するのも、また楽し。
巻末には、本書自体の装丁(著者ではないデザイナーさんの仕事)についての詳細な解説もあり
これまでなにげなく読んでいたマンガにも、こんな背景が……と思えば、より深く楽しめるようになるはずだ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69