『200年の夜と孤独 ~おひとりさま吸血鬼~』第1巻
松田円 芳文社 \619+税
(2014年10月7日発売)
アラサー・アラフォーおひとりさま女子マンガは、今激戦区らしい。
人気のあるジャンル(?)だけに、いかに個性を出すか、作家は苦労しているようだ。
作者が選んだのが、ヒロインは200年生きている吸血鬼のおひとりさま、という設定。いやはや、もうアラサーどころじゃなくオーバーツーハンドレッド。おひとりさまのプロ中のプロだ。
月夜野しのぶは、200年おひとりさまの吸血鬼。
どうせバレるんだからと、バイトではっきりと「私吸血鬼だから」と先にオープンにしている。これが意外と信じてもらえない。まあそりゃそうか。
吸血鬼なので昼のシフトには入れないので、基本夜勤務。
おひとりさま女子マンガのおもしろさは、少し落ちつきが出てきている大人の女性、というところにある。
十代ほどアッパーじゃない、二十代ほど無謀じゃない。人生の酸いと甘いをちょっとだけ経験しているからこその安定感が、ヒロインの魅力につながっていく。
200歳なんて落ち着きどころの騒ぎじゃない。人間よりはるかに経験は豊富。
しかし昼間活動できないため、ちょっとだけ抜けている。この組み合わせが、アラサーおひとりさま女子っぽさと見事にマッチ。落ち着いた容姿と、時間の流れからはずれたゆったりしたしゃべりと、吸血鬼コメディが組み合わされて、しのぶのかわいらしさが完成される。
おひとりさまマンガ好きにも、吸血鬼マンガ好きにもオススメできる、ハイブリッド作品だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」