日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ギリシャ神話劇場 神々と人々の日々』
『ギリシャ神話劇場 神々と人々の日々』第2巻
増田こうすけ 集英社 ¥562+税
(2016年1月19日発売)
累計600万部を超える『ギャグマンガ日和』の増田こうすけが、次なるターゲットに選んだのはなんとギリシャ神話!
『神々と人々の日々』は、増田こうすけならではのセンスでアレンジされた神や英雄が、ご近所同士でゆる~く暮らすギャグマンガ。
約3000年前から伝わる壮大なギリシャ神話が、こんなにも脱力した空気になるなんて……。このギャップ感がたまらない。
第1巻は、かかとが弱すぎる勇者・アキレウスと金に汚い師匠のケンタウロス・ケイロンのコンビを中心に、頭上に乗せたライオンに噛みつかれっぱなしのヘラクレスや、ミス・アテナイ商店街の女神・アテナがズレた会話を繰りひろげる。
最新第2巻では表紙にもなっている愛の神・エロスが大活躍(!?)。むっつりスケベのエロス少年が「ブラブラ(※ブラに空耳)」やら「パンチ(※パンティに空耳)」やらの言葉に絶妙な表情を浮かべる。
読み切りスタイルの『ギャグマンガ日和』と違って、同じ世界で展開される続きものなので物語性もあり、レギュラーキャラによる繰りかえしの笑いも効いてくる。
どの神も英雄もかなりいじられてひどいことになっているが、不思議とギリシャ神話への愛を感じる。
これなら辛うじて、本物のアキレウスやエロスも許してくれるのでは(笑)。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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