『らいか・デイズ』第18巻
むんこ 芳文社 \619+税
(2014年12月6日発売)
成績優秀、体力抜群、児童会長で学級委員長。なんでもこなすスーパー小学生の女の子、春菜来華(はるならいか)の日常を描いた人気シリーズ4コママンガも、なんと18巻!
ずば抜けた優等生なのはあいかわらず、センスがないのもあいかわらず、体型がぺったんこなのもあいかわらず。そして淡い関係の竹田くんとの恋愛の進まなさも、あいかわらず。
この作品がすごいのは、「サザエさん時空」(作中で季節は繰り返しているのに、登場人物は年を取らないこと)なのに、キャラクターたちの心は成長し続けていることだ。
今はクラスメイトや家族の枠をこえ、数多くの人間が登場する群像劇になっており、そのみんなが成長している。なのに時間は『サザエさん』のようにループし続けている。
たとえば季節イベントの定番、バレンタインデー。16巻でもやったばっかりですよ。でも雑誌は月単位なんだから、しかたない。
どうするのかと思いきや、18巻ではなんと、まさかのほぼ全キャラ「逆チョコ」という展開。らいかが、山ほど男子からチョコをもらうという事態に!
頭はいいけど不器用な、らいかと竹田の2人の関係は、このマンガでも重要な軸。今回はこの逆転の発想が功を奏して、竹田の「逆チョコなんて受け取るな」という、プロポーズめいた名言が登場。うまい!
ずっと小学6年生のらいかたち。しかし回を重ねるごとに確実に誰かが成長している。最初は「このままだったらいつか窮屈になるのでは?」と思っていたが、杞憂だった。
人間は想像以上に成長するもの。むしろ1年を12話で描くだけで、成長なんて描ききれない。小学6年生を繰り返せるというのは、小学6年生を多角的に見ることができるということ。
だからどこから読んでも楽しめるし、かつ最初から読んでいるとさらにおもしろい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」